事業継承

2023.09.14

コミュニティの「承継問題」 引き継ぎ先に求めた3つの条件

「渋谷をつなげる30人」をきっかけに新たなコラボレーションが誕生。SHIBUYA CITY FCが渋谷センター街で主催したチャリティイベントの様子

全国で様々なまちづくりプロジェクトを進めてる方にとって大きな課題の一つに、事業の「承継問題」があるだろう。

これまで想いを持っていたリーダー達に頼っていた現場が人事異動、予算の停止、ライフイベントの影響など、様々な理由によって進めてきたプロジェクトを引き継がざるを得ない場合、どうやって、誰に引き継いで行くべきなのか、頭を悩ませる時があるだろう。

今回は、「つなげる30人」の発祥地でもある渋谷区でも同様に表出したこの課題に対し、どのように事業とコミュニティを継承していったのか、その経緯や、成果について整理することで、全国の引き継ぎ問題に挑む方々へのヒントになればと考えている。


進む全国展開、限界を感じた渋谷の牽引

2016年からスタートした「つなげる30人」は、当初3年は、渋谷区に全リソースを集中することを心がけた。行政予算ゼロで、参加企業から参加費用をいただく形で完全自主事業として運営し、クロスセクターによるコラボレーションを通じた事業創造の実績や成果も残すことができた。

結果、2019年に自主事業2拠点目の京都市と初の行政予算として名古屋市で初めての横展開がされ、以降コロナ禍を経て2023年時点で全国12拠点の開催実績を作ることができた。
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一方、全国展開を進めるかたわら、渋谷区の取り組みも続けていたが、当初ほどリソースを注げず、ちょうど2020年からコロナの影響もあり、実質一人で企画・営業・運営をせざるを得ない状況となっていたり、企業側も先行き不透明な経済状況を踏まえ、新規事業関連の優先順位が下がり、結果、参加を見送るケースが増えてきた。

もちろん、渋谷区に思い入れはあったが、このような状況を踏まえ、今までのように自身が引っ張っていくことへの限界を感じていた。いつかどこかで誰かに引き継がないと身体がもたないことは思ってはいたが、全国展開の工数は予想以上にあり、渋谷区の状況を変えるための一手がなかなか打てずにいた。

引き継ぎ先の条件出し

いよいよコロナ2年目となる、2021年度、同時に7エリアを担当する状況になったり、一方で全国展開を加速するための手段として「一般社団法人つなげる30人」の設立の構想も始まるなど、さらにリソースも限界を迎えていた。

当時、渋谷は6期目を迎えており、いよいよ本気で引き継ぎ先の検討を進める必要が出てきた。当初は、選択肢として、OB/OGを中心に実行委員会を組織し、任意団体ないしは一般社団法人として運営を引き継ぐという事もあったが、そこまでの時間の猶予もなかった。では、私たちはどうしたか。
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文・写真=加生 健太朗

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