地元のローカルサッカークラブとの交渉
前述のような厳しい条件を追求していく中で、これをクリアでき、かつ自身と強い信頼関係がある団体組織は、私の知る限り、地元のローカルサッカークラブ「SHIBUYA CITY FC」を置いて他には無いという結論に至った。実は元をたどれば、スポーツチームと「つなげる30人」の相性の良さについてはコロナ前から構想はあった。
2019年に、Jリーグが社会連携プロジェクト(通称:シャレン!)を立ち上げた際、各クラブと「つなげる30人」の相性の良さについて意見交換し始めており、水面下で連携の可能性を模索していた時期があったが、コロナで一旦白紙になったという経緯がある。
一方、「SHIBUYA CITY FC」は元々、2014年に「TOKYO CITY F.C. 」という名称で発足し、2019年に東京都社会人サッカーリーグ2部(J1リーグを頂点とするサッーカーリーグのピラミッド10階層中8番目となるJ8相当)に昇格。2020年に東京都リーグ1部(J7)に昇格したと同時に「SHIBUYA CITY FC(以下、SCFC)」と名称を変え、同年3月に「渋谷からJリーグを目指す」ことを宣言していた。
ちょうどそのタイミングで、私はSCFCと面識を持ち、地元で不動産業を営む柳光商事の一柳弘子社長を始め、様々な方の協力のもと「渋谷をつなげる30人」の5期(2020年度開催)と6期(2021年度開催)に参加してもらい、クラブやメンバーと従来十分な信頼関係を構築してきた。
そんな中、SCFCも、ちょうど2021年11月に経営体制が一新し、さらなる飛躍を遂げようとしていた。
行政との連携をベースにしながら、200社を超える区内のスポンサー企業から応援を受けたり、「FiNANCiE」というトークン発行型クラウドファンディングサービスを活用するなど最先端の取り組みに挑戦をしており、本業のサッカー以外の活動にも定評があった。
2022年の年始、思い切って初対面の小泉翔新社長に対して、自分の思いを伝えた。
「はじめて僕の一番大事な「渋谷をつなげる30人」を心から引き継いで欲しいと思える相手(=SCFC)に出会えた。これまで線だったスポンサーとの関係を面にして、スポンサーと一緒に渋谷をよくする活動を生み出す旗を振りませんか」と率直な思いと、クラブとしてのメリットを伝えたところ、真正面から受け止めていただき、その場で合意し、1年をかけた引き継ぎプロジェクトを共に進めることとなった。
なお、この話と同時期に、SCFCは「渋谷をつなげる30人」の仲間と連携し、渋谷をジャックする企画「FOOTBALL JAM」を同年3月に開催し話題となった。
また同年4月の4/28(シブヤの日)には、「渋谷をつなげる30人」参加企業であった株式会社FUSIONがSCFCのメインスポンサーの一つになり、センター街で、チャリティイベントを実施するなど、コラボレーションは目に見えて加速していた。