事業継承

2023.09.14 16:30

コミュニティの「承継問題」 引き継ぎ先に求めた3つの条件

督 あかり
既存組織に全権移譲する事を前提に、双方がウィンウィンとなるような引き継ぎ先の大きな条件について整理を進めることにした。

条件1:本業とシナジーを生み、事業として継続運営が可能

大前提として、引き継いだ後も「つなげる30人」事業が本業とシナジーを生み出し、利益を生み出す事業として位置付けられ、継続的な運営が可能な事が最低必要条件と考えていた。よって組織形態としては、株式会社等の企業が事業として引き継ぐ事が望ましいと考えた。

また企業としての事業規模が大きすぎない事も条件だった。つまり、例えばメガバンクや大手デベロッパーなどの大企業が「つなげる30人」事業を引き継いだとしても、どうしても「イチCSR事業」と扱われ社内優先順位が高まらない事が予想された。なので、引き継ぎ先としては、中小企業が最適であり、また、主幹事業に育つ可能性を感じてもらうことが重要であった。

条件2:渋谷を愛し、満遍なく愛され、根を張る覚悟が出来ている

「まちづくり」を大きな目的とする以上、単なる経済活動としてだけではなく、その街を愛し、偏りなく幅広い人に愛され、その街に貢献したい真っ直ぐな気持ちを持っていることも重要な要素である。また街に貢献することが巡り巡って自分たちに何かしらの恩恵を受けることが出来るかもしれないという抜け目のなさも重要だ。

また、ポジティブな意味で、渋谷に根を張り、簡単な事では離れられない特性を持っていることも大きな条件のひとつ。仮に人が変わったとしても組織として根を張り続けることがある程度担保されていると信頼して引き継ぎしやすいし、長続きするだろうと考えた。

条件3:すでに渋谷区内にネットワークがあり、地域貢献が評価対象となる

この事業を成立させるためには、毎年30人(企業20名は有償、NPO8名・行政2名は無料でご招待)を集め続ける事が条件となってくる。これを成立させるには、すでに本業で行政や市民団体、そして取引や付き合いのある企業が相当数いる必要がある。

また、本業を通じての地域貢献が「やってもいいし、やらなくてもいい」「上手く行かなかったら辞めればばいい」という中途半端な存在ではなく「必ずやらなければならない」というレベルでの義務ないしは強制力を課せられ、そこの事が何かしらの評価対象となっている方が継続しやすいと考えていた。

当然、その他にも「最低限の人として信頼できるか」や「抜け目のない事務局運営を出来る体制を構築できるか」など数え上げればキリがないが、上の3点が大きな条件として考えたことだった。

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文・写真=加生 健太朗

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