渋谷の成功をナゴヤにも。「つなげる30人」横展開の舞台裏

「ナゴヤをつなげる30人」ワークショップの様子

渋谷区では2016年から、企業・行政・NPO・市民など、組織の垣根を越えたクロスセクターによるまちづくりプロジェクト「渋谷をつなげる30人」を展開している。立ち上げ当初からの中期目標として、この「つなげる30人」の仕組みを、他の地域で横展開していきたいと考えていた。ちなみに、長期的な夢は海外に輸出していくことだ。

これまで運営していく中で、他の自治体関係者は、取り組みに興味や共感を示しつつも、「渋谷区だからできるんでしょう?」「うちでもやりたいけど中々難しい」など厳しい意見が聞こえてくることが多かった。

しかし、2019年度から、名古屋市、京都市、宮城県気仙沼市の3つの地域で「つなげる30人」がスタートした。それに伴い、「うちの地域でも始めたいが、まずは何からどのようにはじめたらいいのか?」という問い合わせを受ける機会が増えた。



今回は、立ち上げ当初から関わっている名古屋市での取り組みの経緯を振り返りながら、プロジェクト「横展開」の課題について考えてみる。

まず初めに、「渋谷をつなげる30人」と「ナゴヤをつなげる30人(後述する担当者の想いで名古屋の表記はカタカナに)」の大きな違いについて言及しておきたい。渋谷は行政からの費用負担はなく、民間企業による参加費で運営されるが、ナゴヤは弊社が名古屋市から業務委託されている。

というのも、渋谷区は、行政予算を入れないことが一種のこだわりでもあった。行政の予算を入れることで、設定されるイシューが行政寄りになってしまい、本来活躍してほしい民間の意欲を高められるのかが不透明だったこと、民間から参加費を得ることでプログラムへのコミットメントの担保にしたかったことが主な理由だ。

しかし、形態のありようについては様々な可能性があるはず……。名古屋市との出会いは、それを具体的に検証していきたいと考えていた矢先のことだった。
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文=加生健太郎

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