立ち上げにあたり、様々な企業にヒアリングを行うと、「忙しい若手社員を平日日中に拘束できるか未知数」といった反応が多かった。そこで、いきなり30人を集めプロジェクトを始動するのではなく、まずはこれからどんなことを行おうとしているか体験してもらう半日の公開型プレイベントを7月に開催。
「ナゴヤの地域コミュニティの将来をみんなで創造しよう!」と題したこのプレイベントは、河村たかし名古屋市長による挨拶から始まり、「地域への視点・取組・課題意識」をお題に、行政から地域振興課の宮島課長、NPOから学び合いの場づくりを行う大ナゴヤ大学の大野さん、企業からみずほ銀行名古屋中央法人部の中川さんによるゲストトークが行われ、後半にアイデア出しワークショップを実施した。
みずほ銀行の中川さんはもともと渋谷支店勤務で、「渋谷をつなげる30人」第2期(2017年年度)〜第4期(2019年度)に職員を派遣してくれた法人部長だった。
また、開催場所は、オカムラが運営する名古屋の共創空間「Open Innovation Biotope “Cue”」を活用するなど、プレイベントを通じて共感者を増やしながら、ステークホルダーへアプローチしていった。
このイベントが、地元紙である中日新聞に取材されたことも大きかった。その内容は、各セクターのメンバーが、その後始まるメインイベント(9月からの5カ月間)に参加する上での判断材料となった。
その後、「ナゴヤをつなげる30人-地域課題に取り組む若者アイデアソン-」として、本格的に市のWEBやチラシ等で公募を開始。不安もあったが、結果、30名を上回る応募があり、最終的に抽選によってメンバーを確定するに至った。
プロジェクトが始動した2019年8月、河村市長は、記者会見で「今回のイベントを通じ、若い世代がどんなことに関心を示し、どんな情報が届いていないのか、どういった地域コミュニティであれば参加したくなるのかなどを精査し、今後の地域コミュニティ活性化に取り組んでいく(一部、要約)」と発表した。
2019年12月現在、「ナゴヤをつなげる30人」から名古屋城の外堀活用、転勤族へのコミュニティ形成支援、企業の教育現場への貢献、社内報での地域情報発信、など4つのテーマが起案され、まさに現在進行中である。どのような着地になるかこれからが楽しみだ。
連載:渋谷区から始めるコレクティブ・インパクト
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