渋谷区から始めるコレクティブ・インパクト

Getty Imagaes

国をあげて「官民連携」「市民協働」という掛け声が聞かれて久しい。医療や教育、まちづくり分野などで、企業や市民の力や知恵を借りながら、一緒に課題解決をしていこうというものだ。

そうなったのも、いまや日本は右肩上がりの時代とは違い、国・自治体共に使える人員や予算などの行政リソースが著しく減少している状況。そのうえ、価値観の多様化や社会の複雑化に伴い対応すべき課題は増え、現状のままではとても行政だけの力では対応できなくなっているからだ。

しかし、一方で、「なるほど、こういう展開ができるのか!」と思い浮かべられる成功例はいくつあるだろうか。それどころか、一般的にはどこか他人事で、そもそも「あまりうまくいかないもの」として捉えられている人も多いのではないだろうか。

私は、まちづくり分野の「官民連携」や「市民協働」をもっと現場に根ざし、等身大のものにしていく挑戦として、渋谷区を舞台に「渋谷をつなげる30人」という企業・行政・NPO・市民によるクロスセクターのまちづくりプロジェクトを2016年から展開している。



2019年で4期目となるこのプロジェクトを運営している中で、セクターを越えたまちづくり活動がどうしたら上手くいくのか、と相談を受けることも増えてきた。同時に、いわゆる「官民連携」や「市民協働」などがなかなか推進しない要因も少しづつ分かってきた。

今回は、その課題と乗り越え方について整理してみたい。

課題1. なんだか楽しくない

セクターや業種横断のまちづくりにおいて、自由闊達で創造的な対話を行ったほうが良いのは誰もが分かっているが、どうしても従来の上下関係や受発注関係などで固定化された既存のステークホルダーがメインとなり、フラットな関係性が作りにくいという課題がある。また新しいステークホルダーが新規で参加するにはハードルが高くなっている側面もあるだろう。

そのような関係性だと、発言や提案したりすることで、結果「損」をすることも多い。せっかく善意で提案をしても、提案する側が相手の事情を理解していない場合もあるので、たいてい「ダメ出し」の洗礼を頂く。すると「本音を言わない」、さらには「陰口を言う」と言う負のスパイラルになる。

または、発言のハードルをなんとか乗り越え、受け入れられたとしても、「じゃ、やって」と丸投げされる。あるいは「こんなことしましょう!」と言っても、「いいですね〜」で終わり、実際のアクションに向けて動くことは稀。これでは参加している方も楽しさがなく、継続のモチベーションは下がっていく。

文=加生健太郎

この著者の記事一覧へ

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい