米、コロナ死者増も「マスク義務化しない」 ファウチ元顧問が見解

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米政府のアンソニー・ファウチ元首席医療顧問は10日、米国ではこのところ新型コロナウイルスの感染が拡大し、死亡者と入院者が増加しているものの、連邦政府が再びマスク着用を義務化する可能性は低く、感染者の「圧倒的な急増」は起きないだろうとの見解を示した。

ファウチはABCニュースの番組「ジス・ウィーク」に対し、感染者が大幅に増加した場合、政府機関が屋内や特定の状況でのマスク着用を推奨したり、地元機関がマスクを義務付けたりする可能性はあるものの、連邦政府が義務化に踏み切れば「私は非常に驚くだろう」と言明。

「みなが持っている免疫のレベル、つまり、ワクチン接種を受けたり、追加接種を受けたり、私たちのように感染してハイブリッド免疫を持っていたりする人ばかりであることを考えると、感染者や入院者の圧倒的な急増が起きる可能性はおそらく低い」と語った。

米国では新型コロナ流行中、大半の場所でのマスク義務化については州や地方自治体に判断がゆだねられていたが、政府庁舎や政府所有地については連邦政府がマスク着用を義務化。さらに飛行機や列車、バス、空港などの公共交通機関でも同様にマスク義務化が実施されたが、2022年4月の裁判所命令により撤廃された。

米疾病対策センター(CDC)が発表した最新のデータによると、新型コロナ感染による入院患者数は過去1週間で15.7%増加、死者数は10.5%増加した。

地方自治体の多くは、最近の感染拡大を受けても、マスク着用を広く義務づける規則は設けていない。しかしここ数週間で、映画製作大手ライオンズゲートや医療保険大手カイザー・パーマネンテの一部施設、モーリス・ブラウン大学、サンフランシスコの病院と刑務所、アラバマ州の地方政府庁舎の一部で、何らかのかたちでのマスク着用義務が復活している。

現在、米国で主流となっている変異株はXBB系統の一種「エリス」で、8月20日~9月2日の感染の約22%を占めた。
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翻訳・編集=遠藤宗生

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