ヘルスケア

2023.09.12 09:30

新型コロナの「XBB.1.5」対応ワクチン、米国でも承認

安井克至

shutterstock.com

米食品医薬品局(FDA)は11日、新型コロナウイルスのオミクロン株派生型「XBB.1.5」に対応した米ファイザー・独ビオンテックと米モデルナの最新ワクチンに緊急使用許可を出した。米疾病対策センター(CDC)が12日にも接種を推奨するかどうか決める予定だ。

XBB系統の変異株は2022年末に確認され、米国では現在、XBB系統から枝わかれした「EG.5(通称エリス)」が主流になっている。

FDAの発表によると、米国では5歳以上で前回の新型コロナワクチン接種から2カ月以上経っている人は、接種歴と関係なく新ワクチンの接種を1回受ける資格がある。

生後6カ月〜4歳の乳幼児は、新型コロナワクチンの接種歴があれば新ワクチンを1回か2回接種する資格がある。接種歴がない場合はファイザー・ビオンテックの新ワクチンの接種を3回、もしくはモデルナの新ワクチンの接種を2回受けることができる。

CDCは12日、新ワクチンの接種を推奨するかどうか判断する会合を開く予定。規制上、CDCが判断を示すまで接種は開始できない仕組みになっている。

米国ではこれまで新型コロナワクチンは政府の負担で無償提供されてきたが、新ワクチンから初めて有償になる。ファイザーとモデルナによると費用は1回110~130ドル(約1万6000~1万9000円)になる見通しだ。ただ、多くの保険会社が保険の適用対象にすると見込まれ、保険に入っていない人にはCDCが一定期間、無償にするプログラムを提供する予定となっている。

CDCの最新データによると、米国で8月26日までの1週間の新型コロナ入院患者数は1万7418人で、前週から15.7%増えた。ピークを記録した2022年1月の約15万人に比べるとかなり少ないものの、専門家は足元の増加はこの秋に感染拡大の新たな波が来る兆しとみている。

新型コロナの新ワクチンはこのほか、米ノババックスが開発したものもFDAの承認待ちとなっている。ファイザー・ビオンテックとモデルナのワクチンがメッセンジャーRNA(mRNA)技術を活用しているのに対して、ノババックスのワクチンは、ウイルスの一部を用いて人体の免疫系を活性化する「組み換えたんぱくワクチン(サブユニットワクチン)」と呼ばれるタイプとなっている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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