アジア

2023.08.30 12:00

「超大国」を目指す中国の試みは失敗に終わる その理由

ステルス長距離対艦ミサイル(LRASM)を発射する米空軍の爆撃機(DARPA photo via Wikimedia)

安全保障

中国の軍事費は世界全体の約13%を占める。米国は39%で、中国の3倍だ。購買力格差を補正しても、バイデン政権が10月1日から始まる会計年度に要求した国防予算8860億ドル(約130兆円)が、中国政府の努力水準を凌駕するのは明らかだ。
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人民解放軍は1979年にベトナムと戦って以来、大きな戦闘を経験しておらず、紛争でどの程度の実力を発揮するかは不透明だ。対照的に、米統合軍は9.11同時多発テロ事件以降、海外で軍事行動に従事し続けている。中国政府はしばしば台湾の武力統一を口にするが、実行に移す資金力に欠け、米国との対立がもたらす結果を恐れている。米国は台湾の防衛力増強を支援し、直近ではF16戦闘機用の赤外線捜索追尾システムの売却を承認した。

米政界の反中派は中国海軍の軍艦建造計画のスピードに盛んに警鐘を鳴らすが、いざ戦争となれば、ステルス対艦ミサイルを搭載した数機の米爆撃機があっという間に中国艦隊を沈めるだろう。米国と米同盟国は、台湾周辺海域の船舶を追跡し標的とするため必要な技術への投資を着実に増やしている。

技術

過去40年間の中国の経済成長は、先進技術よりも安価な労働力によって達成されてきた。安価な労働力が失われつつある今、中国政府は自国の技術基盤を成長させる必要がある。しかし、中国はソフトウエア主導のデジタル革命の可能性にてこ入れするよりも、産業活動でより良い成果を得る傾向がある。

バイデン政権は、半導体製造技術の提供を制限し、クラウドコンピューティングサービスへのアクセスを遮断し、企業に圧力をかけて対中技術投資を抑制することで、この状態を維持しようともくろんでいる。北京と上海でソフトウエアエンジニアを多数雇用している米マイクロソフトは最近、中国の人材を国外に移す動きを見せている。
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ドルの基軸通貨としての優位性など、米国の強さの源泉について挙げられる事例はまだまだあるが、要するに、中国が国力で米国に匹敵することは恐らく決してないだろうし、ましてや超えることなどありえないだろうということだ。米政府の賢明な政策と、中国の根深い欠陥が相俟って、中国が真の超大国になることを阻んでいるのだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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