アジア

2023.08.15

中国の不動産大手、株価が最安値更新 景気後退の懸念高まる

Poetra.RH / Shutterstock.com

14日の香港株式市場で、中国の不動産開発大手・碧桂園(カントリー・ガーデン)の株価が急落し、過去最安値を更新した。世界2位の規模を誇る中国経済の健全性に対する懸念の高まりが浮き彫りになった。

碧桂園は、デフォルト(債務不履行)の可能性を懸念し、オンショア社債の一部取引停止を発表。これを受け、同社株は14日に約20%下落した。株価は今年に入って約70%下落している。

香港ハンセン指数は同日、1.6%下落。ニューヨーク株式市場でも、アリババが3%安となるなど、主要中国株の一部が下落した。

セブンス・リポート・リサーチのトム・エッセイは、碧桂園のニュースは中国におけるデフレ、個人消費の減少、一般的な経済不安への懸念を浮き彫り歳、「中国の景気後退リスクは本物である」という見方を強めたと説明した。

また14日の外国為替市場では、中国人民元が対ドルで2022年後半以来の最安値を記録した。中国経済の先行きが他の大国に比べて暗いことから、人民元が投資家の信頼を失っているためだ。

JPモルガンのグローバル株式戦略責任者のミスラフ・マテイカは、週末の顧客向けメモで、「われわれは、中国のエクスポージャー(リスクにさらされている資産の割合)には興奮していない」と言明。中国不動産業界は「不振」に陥っており、「構造的な下降トレンド」にあると指摘した。

世界で最も価値のある企業1000社のひとつである碧桂園は、新型コロナウイルス流行により中国の不動産市場が低迷したため、2019年から2022年にかけて利益が75%減少。それに伴い、時価総額も大幅に減少している。

フォーブスの推計によると、碧桂園の会長で筆頭株主の楊恵妍の保有資産総額は14日、5億ドル(約730億円)近く減少し、42億ドル(約6100億円)となった。楊は2021年には296億ドル(約4兆3000億円)の資産を持ち、アジアで1位、世界7位の女性富豪だった。だが現在までに資産は86%減少し、中国で9番目に裕福な女性になっている。

14日は、人民元だけでなくロシアの通貨ルーブルも、昨年春以来の安値をつけた。ルーブルはここ1年間で40%近く下落。ロシアがウクライナに侵攻する直前は1ドル=80ルーブル前後だったが、同日には1ドル=100ルーブルを突破した。

forbes.com 原文

翻訳=上西雄太・編集=遠藤宗生

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