碧桂園は、デフォルト(債務不履行)の可能性を懸念し、オンショア社債の一部取引停止を発表。これを受け、同社株は14日に約20%下落した。株価は今年に入って約70%下落している。
香港ハンセン指数は同日、1.6%下落。ニューヨーク株式市場でも、アリババが3%安となるなど、主要中国株の一部が下落した。
セブンス・リポート・リサーチのトム・エッセイは、碧桂園のニュースは中国におけるデフレ、個人消費の減少、一般的な経済不安への懸念を浮き彫り歳、「中国の景気後退リスクは本物である」という見方を強めたと説明した。
また14日の外国為替市場では、中国人民元が対ドルで2022年後半以来の最安値を記録した。中国経済の先行きが他の大国に比べて暗いことから、人民元が投資家の信頼を失っているためだ。
JPモルガンのグローバル株式戦略責任者のミスラフ・マテイカは、週末の顧客向けメモで、「われわれは、中国のエクスポージャー(リスクにさらされている資産の割合)には興奮していない」と言明。中国不動産業界は「不振」に陥っており、「構造的な下降トレンド」にあると指摘した。
世界で最も価値のある企業1000社のひとつである碧桂園は、新型コロナウイルス流行により中国の不動産市場が低迷したため、2019年から2022年にかけて利益が75%減少。それに伴い、時価総額も大幅に減少している。
フォーブスの推計によると、碧桂園の会長で筆頭株主の楊恵妍の保有資産総額は14日、5億ドル(約730億円)近く減少し、42億ドル(約6100億円)となった。楊は2021年には296億ドル(約4兆3000億円)の資産を持ち、アジアで1位、世界7位の女性富豪だった。だが現在までに資産は86%減少し、中国で9番目に裕福な女性になっている。
14日は、人民元だけでなくロシアの通貨ルーブルも、昨年春以来の安値をつけた。ルーブルはここ1年間で40%近く下落。ロシアがウクライナに侵攻する直前は1ドル=80ルーブル前後だったが、同日には1ドル=100ルーブルを突破した。
(forbes.com 原文)