「クーリングシェルター」や「暑さ避難所」などと呼ばれる、人々が猛暑時に暑さを避けて休息できる涼しい場所を準備することも検討すべきだという。
労働の日課や形態を変更するべきかどうかも、もっと検討されるべき点だとゾガイブは訴える。
「地中海沿岸に位置する諸都市では、何百年も前から、人々が夏の暑さを避けられるよう、昼寝休憩時間をとったりして暮らし方を変えている」とゾガイブは指摘する。
「猛暑時の労働時間を見直す必要もある。例えば、もっと夜型の経済活動に移行するのも1つの方法だ」
アラップの最新研究で調査対象となった世界6都市のうち、ヒートアイランド現象が最も過酷な「ホットスポット」だったのは、スペイン・マドリードの中心部だ。マドリードの気温は、周辺地域を摂氏8.5度も上回っていた。
ヒートアイランド現象が2番目に厳しかった都市はインド・ムンバイで、周辺地域との気温差は7度。それに続く米ニューヨークと英ロンドンはともに、周辺地域との気温差が4.5度だった。
調査対象となった都市の大多数では、暑さが最も厳しいホットスポットの植被率(植生が地表面を覆っている面積の割合)が6%未満だったことがわかった。それに対して、気温が最も低い地点は、植被率が70%を超えていた。そのほとんどが公園で、住宅地や商業地からは離れていた。こうした要素が、個々の都市内で気温に大きな差が出た原因だ。
非営利の気候変動シンクタンク「Climate Central(クライメート・セントラル)」が2023年7月に公開したデータによると、都市部でヒートアイランド現象が発生することにより、気温が著しく高い環境にさらされる米国人は4100万人に上る。