気候・環境

2023.08.29 13:30

意図せず都市が暑くなった「ヒートアイランド現象」、その実態と解決策

同研究によると、ニューヨークやヒューストン、ロサンゼルスなど米国内の9都市では、ヒートアイランド現象が発生した際に、気温が最低でも摂氏4.5度上昇した地域で暮らしていた人が100万人以上にのぼった。

ヒートアイランド現象によって、気温が摂氏12度以上、上昇した地域もある。シカゴ、ニューヨーク、ワシントンD.C.では、そうした影響を被った住民の割合が全体の10%を超えていた。

クライメート・セントラルの上級データアナリスト、ジェニファー・ブレイディはインタビューで、気候変動や気温上昇に立ち向かうためには、インフラを改善したり、場所によっては都市デザインを変更したりせざるを得なくなるのではないかという考えが強まっていると述べた。

「米国の北部に位置する都市では、これまでずっと寒さ対策が何よりも重要だった」とブレイディは話す。「都市が熱を封じ込めるのは好ましいとされてきた」

「一方、米国のより温暖な地域では、寒さ対策は必要なかったため、取り組み方が根本から違っていた。使用される建築資材は、明るい色をした、異なる素材が用いられてきた」

ブレイディによれば、都市部の気温を下げるための解決策はすでに存在する。屋上緑化に取り組むことから、道路の舗装塗料の色を変えることまで、さまざまだ。

「都市デザインに変更を加えていく際にはぜひ、猛暑対策を忘れないでほしい」

一方、世界的屋根材メーカーGAFのサステナビリティ担当副社長ジェフ・テリーはメールで、米国ではこれまで、ヒートアイランド現象対策を重視した都市計画が行われてこなかったと述べた。

同氏はまた、単一の対策で猛暑を緩和することはできないと指摘し、大都市ではさまざまな解決策を同時に取り入れ、それによる効果を考察していくことが重要だと述べた。

「太陽光を反射する舗装や、冷却効果のある屋根材の使用に加えて、植被率を上げたり日陰を増やしたりといった地域社会全体で取り組む解決策は、メンテナンスが比較的容易で、その他の利点も多い。持続可能性と回復力に優れた未来を構築していく上で重要だ」と、テリーは話している。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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