ある意味、ウクライナ軍指導部の判断は正しかった。第47機械化旅団は南部の戦線で、ポルトガルとドイツから供与されたレオパルト2A6戦車21両をすべて運用する第33機械化旅団と組んでいる。重量69トンのレオパルト2A6は、場所によってはなんと1400mmの鋼鉄に匹敵する防御力を持つ。にもかかわらず、運用する大隊はすでにレオパルト2A6を少なくとも2両失っており、さらに9両が損傷を受けている。
もっとも、軍指導部がM-55Sを最も激しい戦闘にはさらしたくないと考えたのだとすれば、結果として大きな誤算になった。というのも、ロシア軍がウクライナ軍の反攻に対する反攻のために、使用できる最良の戦力を集中させることにしたのは、ほかならぬクレミンナの西方だったからだ。ロシア軍がここでの反・反攻によって、ウクライナ軍がはるか南で進める反攻作戦を頓挫させようという目論見なのは明らかだ。
ロシア軍はこれまでに、クレミンナの西へ数km前進している。それでも、M-55Sを擁する第67機械化旅団やスウェーデン製の最新鋭車両を装備する第21機械化旅団はロシア軍の大きな前進を食い止めている。反攻頓挫の試みを頓挫させているのだ。
ウクライナ軍は、M-55Sの戦車大隊がロシア軍の最良の部隊と直接衝突するのを避けようとしたのかもしれない。もしそうだったとすれば皮肉だが、結果としてこの大隊はロシア軍の最良の部隊と相まみえることになった。
(forbes.com 原文)