同日午前の外国為替市場で1ドル=101ルーブル台をつけた。ルーブルが1ドル=100ルーブルの節目を割り込むのは、ウクライナ全面侵攻直後の昨年3月に史上最安の1ドル=120ルーブルを記録して以来。
ルーブルは年初来ドルに対して25%ほど下げており、ここ数週間、下落基調に拍車がかかっていた。ルーブルの価値は、西側諸国による制裁にもかかわらず数年ぶりの高値をつけた昨年6月と比べるとほぼ半減した。侵攻前には1ドル=76ルーブルほどの水準だった。
ブルームバーグ通信によると、ルーブルの年初来25%という下落率は新興国通貨の騰落率としてはトルコのリラ、アルゼンチンのペソとともにワースト3に入る。
政府高官が異例の中銀批判
ロイター通信によると、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の経済顧問であるマクシム・オレシキンはこの日、タス通信に寄せた論説で、ルーブルの最近の下落やインフレの加速はロシア中央銀行による「緩和的な金融政策」に原因があると批判した。侵攻後、ロシア当局間の不和が表沙汰になるのは異例。オレシキンはまた、ロシア政府は「強いルーブル」を望んでおり、ルーブル相場が早期に正常化することを期待しているとも記している。
ロシア中銀は7月、予想以上の上げ幅の利上げに踏み切ったほか、先週はルーブル相場を支えるために行っていた外貨買い入れを、年末まで休止すると発表していた。近く再び利上げを行うと予想されている。
ロシア中銀はルーブル安の理由は主に外国との貿易の悪化だとし、政府側とは異なる説明をしている。
ルーブルの価値はこれまで、ロシア経済の鍵を握るエネルギー輸出などの貿易状況が主な押し上げ要因になってきた。
ロシア産原油・天然ガスは侵攻前に最大の買い手だった欧州が距離を置き、価格制限などの制裁を科した結果、価格が下落した。ただ、ロシアはその後、アジア諸国、とくに中国やインドなどの買い手を開拓している。最近は需要の高まりもあり、原油相場は上昇してきている。
(forbes.com 原文)