「毒にも薬にもならないお金は、地域で活用されるべき」 石井造園の地域貢献とは

石井造園代表取締役・石井直樹さん

世界からも認められた石井造園のCSR活動

石井造園の堅実かつ地道な取り組みの成果は、”B Corporation(※)”の認証取得を通じて世界からも評価されている。
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※B Corporation(Bコーポレーション):社会や公益のための事業を行っている企業に発行される国際的な民間認証制度。アメリカ・ペンシルベニア州に拠点を置く非営利団体B Lab™が2006年から運営しており、独自の指標であるBIAスコアを基に認証を行っている。認証企業は世界で6700社を越え、日本国内では27社が認証を取得している。(2023年6月時点)

「石井造園では2016年5月、国内で2番目にB Corporation(以下、BCorp)の認証を取得しました。審査を受ける際に答えた200の質問を通じて、我々が地域貢献として活動してきた成果と現状を客観的に測定することができました」

「ガバナンス」「従業員」「環境」「コミュニティ」「顧客」の5領域において厳正な基準をクリアする必要のある同認証制度。取得に向けて苦労した点を伺ってみると、次のような答えが返ってきた。
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「実は、我々が取得に向けて特別に取り組んだことは1枚の紙に法令遵守を宣誓することだけでした」
実際の法令遵守宣誓書

まさに、石井造園が長年取り組んできた活動の価値が世界的な基準においても認められた証。2017年と2018年にはB Labが毎年優良企業を表彰する「Best for the World™」を連続受賞している。

「特に、『顧客を通じた地域コミュニティへの貢献』と『安全で健康的な労働環境』の分野で高い評価を得ました。地域に密着した日常の取り組みだけでは見えづらい我々の強みを知る機会になったと感じています」

CSR報告書を作成する際に国際的に用いられる「トリプルボトムライン」の概念においても、環境・経済・社会の3つの側面が評価基準に設定されている。この3つの領域を網羅する石井造園のCSR活動は、国境を越えても負けずとも劣らない水準であることがわかる。

活動の成果は、ご利益である

このように世界からも注目を集める石井造園のCSR活動だが、取り組みの原動力には何があるのだろうか。

「石井造園にとってCSR活動の成果は、『ご利益』のようなものです。まるでお賽銭を投げるように、ご利益があったらいいなと願いながら日々できることに取り組んで徳を積む。何か成果があったとしても、それが神さまのご利益なのか確かめようがないこともあるでしょう。

CSR活動もそれと同じことです。いつどんな形で見返りがあるかはわかりませんし、見返りなんてないかもしれません。それでも常に身を清め、地域社会に対して恥ずかしくない自分であるように努めること。それが、社会的責任を果たす者としてあるべき姿だと思っています」

自分たちの前向きな取り組みを可視化することも重要である、と石井さんは続ける。

「『環境活動や地域貢献活動に力を入れていることをあえて発信しない』という美徳もあるかもしれません。しかし私は、自分たちが良いことをしている、したいと思っている、ということは積極的にアピールして然りだと考えています。ホームページでもSNSでも、1枚のCSR報告書でも、どんな方法でも良いと思うのです。

発信を続けていればどこかで誰かが見ていてくれますし、思いがけないところでご利益が、すなわち成果が現れるかもしれません。多くの人は成果が見える前にやめてしまうのですが、粛々と取り組みを続けることには意味があると確信しています」
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文=室井梨那

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