「毒にも薬にもならないお金は、地域で活用されるべき」 石井造園の地域貢献とは

責任を果たすべき相手を身近に感じられる環境に身を置くこと

石井造園のCSR報告会において特に注目が集まるのが「公開マネジメントレビュー」だ。石井さんとCSR部長が壇上にあがり、社会貢献の進捗を自ら確認し、互いに評価し合う。

「お客さまの目の前で会社のあり方や従業員のあり方について議論する機会があるということは、見方を変えれば労使ともに反逆のチャンスがあるということでもあります。

毎年どんなレビューを受けるのだろうかとドキドキしながら壇上に立つのですが、互いに誠実かつ素直な気持ちで仕事に向き合っているからこそ生まれる信頼のおかげで、この『公開マネジメントレビュー』は価値を発揮していると思います」
公開マネジメントレビューの様子

まさに長年の継続的な活動が築き上げた「信頼関係」によって支えられている、石井造園のCSR活動。

しかし、社員一人ひとりの行動変容に働きかけることは決して簡単ではないだろう。石井さんは、日頃から社員に向けて「見られているという意識を持とう」と伝えているのだという。

「『自分たちが見られている』と自覚することは窮屈であるけれど、その窮屈さから行動を変えよう、一層頑張ろう、と自らを律することが大切だと考えています。

特にCSR報告会で、地域住民やお客さまが我々の話に真剣に耳を傾けてくださる姿を見ると、あれこそが石井造園の見られ方であり、我々が責任を果たすべき相手なのだ、と身が引き締まるのを感じます」
CSR報告会では、社員全員がお客さまの前に立つ

自らを律する力。現場に出て、直接お客さまの目に触れながら作業をする造園業だからこそ求められる責任の果たし方なのかもしれない。

「見られ方を意識すると言っても、私が社長に就任した頃は『コンビニで雑誌を立ち読みするのはやめよう』とか『店先でカップラーメンをすするのはやめよう』とか、否定的な注意喚起ばかりでした。

今では、『CSRに取り組む企業としてより良い行動は何かを考えよう』と、一丸となって前向きな議論ができるまでに成長したことを誇らしく思っています」

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文=室井梨那

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