「毒にも薬にもならないお金は、地域で活用されるべき」 石井造園の地域貢献とは

田中友梨
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「広い場所でなくても、マンションのベランダや小さな緑道、公園など、見渡せばたくさんの空間があります。また、最近では屋内緑地にも注目も集まっています。

室内にみどりを取り入れることで作業効率が上がったりリラックス効果が高まったりすることがわかっており、オフィスのみならずリモートワークを行う自宅の室内にみどりを取り入れたいと考える人が増えています」
石井造園事務所内にも壁面緑化が

造園が提供するみどりの価値観も、暮らし方の変化に応じて柔軟にアップデートしていきたいと語る石井さん。

「コミュニティの主役は、地域の皆さまです。我々が勝手に地域のみどりを管理するのではなく、住民主体で『限られた空間でみどりを楽しもう』『自分たちの手で豊かな地域にしていこう』と、進んでいけるような地域コミュニティづくりを後押しする存在でありたいです」
取材に応えてくださった石井直樹さん。前向きで快活なお人柄が印象的

取材後記

脱炭素化の潮流で緑地の必要性が見直されている昨今。「みどり」と聞くと環境分野との結びつきは容易に想像がつくが、みどりの維持管理業務とコミュニティ形成の結びつきは見えづらいかもしれない。

しかし社会の本質に立ち返ってみれば、経済活動とは誰もが幸せに暮らすことができる社会のために存在しているもの。どんな分野に従事していても、それは変わらないはずだ。

さらに石井造園が目指す、事業活動によるみどりを通じたコミュニティづくりは、環境・社会・経済の三つの軸に働きかける取り組みだ。まさに、組織の社会的インパクトや活動パフォーマンスを評価する「トリプルボトムライン」の考え方に合致している。

企業活動は、環境のためだけにあるのではなく、ヒトのためだけにあるのでもなく、経済的利益のためだけにあるのでもない。その全てのバランスが整ったところに、幸せが持続する社会が実現するのではないだろうか。

近所の公園や、小さな緑地帯。そこにある木や咲く花の全てに植える人がいて、世話をする人がいるということ。当たり前のことだが、顔の見える関係になって初めてその存在に気がつくことができる。

石井造園を通じたみどりの管理によって、環境が少しずつ再生され、ヒトの社会にもお金の循環が生まれ、そして幸せなご利益が波及していくかもしれない。今日も明日も変わらずそこにある植物がもたらす事業活動の可能性を強く認識する時間となった。
2022年度CSR報告会にて、石井造園社員の皆さまと参加者の皆さま

【参照サイト】
石井造園 公式ホームページ


※この記事は、2023年8月にリリースされたCircular Economy Hubからの転載です。
(上記の記事は、横浜市内のサーキュラーエコノミーを推進する「Circular Yokohama」に掲載された記事を転載したものです)

文=室井梨那

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