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2023.08.15 17:00

女性ベンチャー投資家ふたりが語る。後悔しない「お金とキャリア」

Forbes JAPAN編集部
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チャンスをもとに、チャンスをつくる人生

高岡:もし自分の子どもに助言するなら、「最初に働く場所は、後の選択肢を増やせるかを考え、意思決定したほうがいい」と言いますね。その時の報酬より、後で差別化できるスキルや経験。そして、抽象的ですが、チャンスはどこに転がっているか、常に意識してキャリアを歩んでもらいたいです。

関:この特集の表紙を飾っているメロディ・ホブソンも、貧しいシングルマザーの家庭育ちの黒人ながら、チャンスをつかみ続けて、誰もがうらやむキャリアを形成した方です。ジョージ・ルーカスの奥さんとして有名ですが、彼女は金融業界のスーパースター。スターバックス会長などを歴任し、いまはマイノリティ経営者の企業への投資家です。

高岡:メロディ・ホブソン、ペプシコのインドラ・ヌーイ、ミシェル・オバマなど、アメリカのマイノリティの女性リーダーの共通点は、つかみ取ったチャンスで得たものをフル活用して、次世代へのチャンスを生み出しているところにあります。勝ち取った信用からきたチャンスでも成果を出し、さらなる影響力やネットワークを得る。その積み重ねを、社会のダイバーシティ&インクルージョン、マイノリティ経営者への資金循環など、大きなビジョンの実現に活用しています。私もすごくインスパイアされましたし、あらゆる人の目線を一段上げる生き方だと思います。

関:メロディ・ホブソンが取り組む「資金を集めるのが難しい」「人脈がない」といったマイノリティ起業家の課題は、日本の女性起業家と共通です。ベンチャーへ投資する立場からみれば、女性をはじめマイノリティの創業者は、投資カテゴリーとして見逃されている分野です。例えば、類似のビジネスをする男性だけの創業チームと女性の場合で、投資家からのバリュエーション(企業価値評価)の言い値が1桁違うこともあります。このエントリーポイントに、リターンを狙える機会があるのではないか、と思っています。実際に、日本の女性起業家に投資をし、この仮説を検証していきます。

高岡:アンダーバリューされたカテゴリーの起業家に投資するわけですね。私は日本自体が、世界からアンダーバリューされているとも思っています。日本人の潜在的能力は、経営者も、従業員も、世界と比べて決して劣ってないにもかかわらず、そこまで評価されていない。だからこそ、資本市場へのコミュニケーションや、多様な視点と経験をもつ人たちを巻き込む力など、スタートアップが少し変化するだけで、よりグローバルな評価が得られるはずです。そこに伴走するのが、投資家としての挑戦です。
高岡美緒が原著で読み「個人資産を含めお金との向き合い方について哲学的に網羅的にカバーしている」と話すベンチャー投資家による著書『サイコロジー・オブ・マネー』(モーガン・ハウセル著、ダイヤモンド社)。

高岡美緒が原著で読み「個人資産を含めお金との向き合い方について哲学的に網羅的にカバーしている」と話すベンチャー投資家による著書『サイコロジー・オブ・マネー』(モーガン・ハウセル著、ダイヤモンド社)。

編集=フォーブス ジャパン編集部 写真=ヤン・ブース ヘア&メイクアップ=内藤 歩

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年8月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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