「最終的に、アシナシイモリは電磁的『兵器』を配備し、この毒素・受容体相互作用の際に電荷を逆転させます」とフライは述べた。
通常、受容体の結合ポケットは負に帯電しているので、ヘビの毒素は結合を助けるために進化して正に帯電している。受容体の結合ポケットを変異させて毒素と同じ正に帯電させることで、電磁的に毒素を撃退できる。
「正対正の電荷反発力は、物体同士が近づくにつれ指数関数的に増加します。2つの磁石を近づけた時と同じように」
このような進化の軍拡競争から抜け出せない両生類は、アシナシイモリだけではない。同じくコブラとともに進化したある種のカエルやサンショウウオも、ヘビ毒に対して同じような進化適応を遂げた可能性がある。
この発見は、新しい抗毒素の開発などといった短期的に人間の役に立つものではないが、捕食者・被食者間の進化的な軍拡競争がもたらす緻密だが強力な効果に光を当てるものだ。
そしてもちろん、このような発見が、次世代の科学者にインスピレーションを与える役割を果たすことは間違いない。
「動物が他の動物を殺し、被食者が捕食者から逃れるために進化することは、常に人の興味をそそるものですが、科学に足を踏み入れようとしている若い人たちとっては特にそうだと私は考えます」
出典:Marco Mancuso, Shabnam Zaman, Simon T. Maddock, Rachunliu G. Kamei, David Salazar-Valenzuela, Mark Wilkinson, Kim Roelants, and Bryan G. Fry (2023). Resistance Is Not Futile: Widespread Convergent Evolution of Resistance to Alpha-Neurotoxic Snake Venoms in Caecilians (Amphibia: Gymnophiona), International Journal of Molecular Sciences | doi:10.3390/ijms241411353
(forbes.com 原文)