「降りかかる圧力に関わらず耐えて進化するアシナシイモリの能力は映画のようです。化学組成を変えることによって抵抗したのです」とフライは語った。
論文の主著者で、ベルギーのブリュッセル自由大学修士課程で両生類を研究するマルコ・マンキューソは、アシナシイモリ37種の組織を採取し、ニコチン性アセチルコリン(ACh)受容体α1サブユニットの配列を決定した。この受容体タンパク質は神経筋接合部に存在する。そこで、ヘビ毒の毒素の結合といった化学信号を電気信号に変換する役割を果たす。
これらの配列を比較、分析した結果、マンキューソ、フライおよび共同研究者たちは、コブラ毒の神経毒に対する耐性が、少なくとも15回、独立に進化していたことがわかった。
「これは、そのように過酷な選択圧に対する反応として驚くべきシグナルです。猛攻を生き延びたのは、毒への感受性が少し低かったものや、変異によって完全な免疫を得たものたちでした」とマンキューソは説明した。「コブラが大発生した後、地球で再び繁栄したのはそれらの種でした」
セーシェル諸島固有のアシナシイモリは、その進化の歴史を通じてαニューロトキシンを持つヘビと直面したことがないため、AChのα1サブユニット内での適応変異がないというのは興味深い。
一連の変異はどうやって毒耐性をもたらしたのか。アシナシイモリはいくつかの生物学的戦略を通じてコブラの毒に対する前例のない免疫を獲得したとフライはいう。
「1つの方法は、本来なら致死的反応を引き起こすような毒素が受容体に到達するのをブロックするバリゲードのようなものを設置することです」