宇宙

2023.07.31

「きらきらひかる」童謡で描写されていた最先端の天体物理学

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最新の研究で、童謡「きらきら星」には最先端の天体物理学の一端が描写されていたことが明らかになった。

夜空の星が瞬いて見えるのは、地球の大気の流れが揺らぐことで星の光が屈折するためだ。だが、英科学誌ネイチャー・アストロノミーに7月27日付で発表された新しい研究によると、恒星は表面のガスが波打つことによって独自のきらめきを放っているという。

論文の主執筆者で米ノースウェスタン大学の博士研究員であるエヴァン・アンダースは「恒星の核で起きる運動によって、海の波のような波動が生じる。この波が星の表面に到達すると、星の光は明滅する。その様子を天文学的に観測できる可能性がある」と説明している

星が瞬く第2の理由

この第2の星のきらめきは、波動が表面まで伝播してプラズマを圧縮・減圧し、星の明るさを変動させることで起きる。波が星の表面に到達するには数十万年かかると考えられている。

この現象は、現在のところ地上の望遠鏡で観察することはできない。星の明るさの観測に基づいて天体物理学者がコンピュータ・シミュレーションを作成し、確認した。

「こうした波動によって生じる星の瞬きを予測できるコンピュータモデルを、初めて開発した」とアンダースは語った。

星のきらめきを聴く

研究チームは、ガスの波をマッピングし、一連のプロセスによって星がどの程度きらめくかを計算した後、データを音楽に変換した。具体的には、グスタフ・ホルストの管弦楽組曲『惑星』の第4曲「木星」と、何よりこの研究にふさわしい『きらきら星』の音波を用いて、シミュレーションモデルを検証した。

将来的には、星が固有に持つきらめき、すなわちその恒星のコアの特徴であり、巨大な恒星の高速自転によって引き起こされる現象を、宇宙望遠鏡で観測できるようになると期待されている。これは、天文学者が恒星のごく内側の領域についてより詳しく知るのに役立つだろう。私たちが生きて呼吸する際に依存している元素は恒星のコアで作られていることから、その意義は大きい。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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