一般的に、古い恒星は天の川銀河の縁にある150個以上の球状星団(別名「galactic wanderers」とも呼ばれ、超大質量星と関係があるかもしれない)の中でしか見つからない。
先に、英国ウェールズのカーディフ大学で行われたNational Astronomy Meeting 2023で研究結果を発表した国際研究チーム、Pristine Inner Galaxy Survey(PIGS、初期内部銀河調査)は、天の川銀河の中心に注目した。銀河形成モデルはそこに古代の星が存在することを示唆しているが、これまでほとんど発見されていない。というのも、銀河の中心にある古代の星々は、ちりに覆われ、若い星々に数で圧倒されて特定するのが困難だからだ。
天の川銀河の中心にある古代の星々の想像図。左図ではいくつかの恒星の軌道が描かれている。右図は天の川銀河での太陽と比較した位置と、ゆっくりと回っているところを示している。( LEFT BACKGROUND – ESA/GAIA, ARTIST IMPRESSION: AMANDA J. SMITH AND ANKE ARENTSEN, INSTITUTE OF ASTRONOMY, CAMBRIDGE)
初期宇宙の遺産
しかし、それら古代の星は若い星とは大きく異なっている。若い星、たとえば私たちの太陽は、超新星爆発でできたあらゆる種類の重い元素(酸素、炭素、鉄など)からできているのに対し、古代の星はそれらの元素が豊富になる前に形成されており、主として水素とヘリウムからできている。PIGSの研究は、その古代の星々が混沌の中で生まれた可能性が高いにも関わらず、徐々に動いていることを発見した。
「天の川銀河における、最も初期の段階というこれまでほとんどの手の届かなかった時代に形成された星々を見ていると思うと興奮します」とPIGSのメンバーでケンブリッジ大学のAnke Arentsen博士はいう。「これらの星はビッグバンから10億年以内に形成された可能性が高いため、初期宇宙の遺産です」
銀河形成の鍵
この最大かつ最も詳細な初期内部銀河の観測は、ハワイ州マウナケアにあるカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡(CFHT)を使って行われ、オーストラリアのサイディング・スプリング天文台にあるアングロオーストラリア望遠鏡を使って確認された。その後、そのデータは古代の星々が天の川銀河の中をどのように動いているかを調べるためにガイア計画のデータと統合されている。すべての銀河が、形成し始めたときの姿を理解するのに役立つはずだ。
ビッグバンは、宇宙がどのように作られたかを説明する有力な理論だ。138億年前に起き、高温で高密度の火の玉が膨張し今私たちが見ている宇宙になる始まりの瞬間と考えられている。
球状星団は、似たような年齢の恒星数十万個からなる高密度の球体で、ビッグバン直後の最初の銀河と同じ時期に形成したと考えられている。
(forbes.com 原文)