清水:政治の世界でも、日本はまだまだ女性が少ないですよね。
小池:日本はジェンダーギャップ指数が116位(2022年)と、先進国で最低ランクですが、なかでも足を引っ張っているのが政治の世界です。
全国の女性首長と駐日女性大使、女性経営者が集まる「女性首長によるびじょんネットワーク」という会議があるのですが、女性首長は全国的に見てもとても少ない。現役の知事では、山形県の吉村美栄子さんと私だけ。市区長や町村長を合わせても50人余、全体の3%弱というレベルなんです。
全米市長会議(米国内の人口3万人以上の約1400都市で構成する超党派組織)に招かれたことがあるのですが、想像以上に女性市長が多かったんですよ。ヨーロッパに目を向ければ、もっと多くの女性首長が活躍しています。
清水:欧米で女性活躍が進んでいる背景には、日本とは異なる事情があるように思います。
私はロンドンで通算4年ほど働いていたのですが、ヨーロッパにも「不平等」は存在します。
ただ、日本と違い、人種や宗教などが絡んでくるので、より複雑です。そのためポストを決める際は、特定の人種や宗教に偏らないように配慮する。そのうえでさらに男性を優先して……となると、なかなかポストが埋まらないのが現実です。
結果的に、女性の活躍の場が増えるという側面があるのではないでしょうか。
小池:日本の場合、性別以外の切り口があまりない。そのことが、女性活躍の機会を狭めているのかもしれませんね。
多様化する社会においては、これまでとは違った切り口で物事を決めていく必要があり、意思決定の場に女性の存在は不可欠です。とはいえ現状では、自分から手を挙げない限り、意思決定の場に女性が入ることは難しい。
ですから、まずは女性が自ら手を挙げることです。宝くじだって、買わないと当たらないでしょう?
やる気はあっても「オジサンだらけの世界でやっていけるのかしら」などと踏み出せずにいる女性も多いのではないでしょうか。意思決定の場で活躍する女性が増えれば、その姿を見て勇気づけられ、より多くの女性が「私もやってみよう!」と手を挙げるようになるのではないかと思うのです。
清水:そういった“よい循環”ができることが大切ですよね。
小池:具体的なアクションが、社会を変えていくというわけです。