メタバースプラットフォームを生業としている僕は、どちらかと言うとChatGPTのような対話型AIよりは、画像や3DCGを生成するアルゴリズムとしての生成系AIなど、クリエイティブを作るためのAIに興味を持っています。
このようなテクノロジーやAIアルゴリズムによって、クリエイティビティがサポートされて、より発展していくことが、これからの時代において、とても重要になると思っています。
僕が「メタバースが広く世の中に受け入れられるためには何が必要ですか?」と聞かれた時にはいつも、「作るハードルを下げること」と答えています。
それができれば、人間のイマジネーションは無限大で、みんながクリエイティビティを発揮する、めちゃくちゃ楽しいメタバースの世界ができる。結果、一つの大きな産業になると思っています。
AIはその鍵を握る主要なテクノロジーです。
メタバースは黎明期で、テクノロジー界の話題も投資もAIにシフトしていると言われていますが、AIは、メタバースの発展に大きく寄与する可能性を含んでいるのです。
53億円調達の理由 メタバースを日本の一大産業に
僕たちクラスターは、メタバース元年と言われた2022年から、将来のメタバース市場を占う次のフェーズに進もうとしているこの段階に、53億円の資金調達を実施しました。メタバースと呼ばれる領域自体、僕は単なる1年2年の流行りではなく、30年や50年という長い時間をかけて人類が目指すべき未来だと考えています。ですので、これまでの事業でも慎重かつ着実に進めてきましたし、これからもそのつもりでいます。
ただ一方で、このままゆっくり進めていたら、チャンスを逸してしまうのではないか、と危惧してもいます。
僕は、メタバース産業は日本の一大産業になると考えています。
IT産業全体で見ると、多くがアメリカか中国製で、日本は本当にボロ負けと言ってもいい状態ですよね。その中で、このメタバースという産業、技術、カルチャーのようなものは、日本とすごく相性が良い。世界の先を行ってるな、と感じているんです。
僕たちが運営しているメタバースプラットフォーム「cluster」でも、昨年7月に100万ダウンロードを突破し、毎日使っていただけるようにもなってきて、最近では海外のユーザーも少しずつ増え、コミュニティも出来てきつつあります。
収益の柱となっている法人のメタバースイベント事業でも、バーチャル渋谷、バーチャルあべのハルカスといった「街の再現」から、音楽ライブやスポーツ観戦、入社式などの会社行事まで、年間200件もの様々なイベントを開催して世界一の開催数に、そして累計動員数2000万人を達成しています。
それによって、お金が巡って、雇用が生まれて... となっているのは本当に最先端だと思っています。
これをグローバルに展開していくことによって、日本発でメタバース市場を盛り上げていける、ゆくゆくは日本を支えるような産業になる。そう確信していて、そのためにここで大きな勝負をかけたい!と思ったのが、今回大きめの資金調達をした背景です。