日本発メタバースで「100兆円経済圏めざす」クラスターが、53億円調達で挑むこと

バーチャルあべのハルカス(c)近鉄不動産 (c)Cluster,Inc.

儲けたいだけなら、教育事業なんてやらない

それを実現するのが教育だと思っています。

スタートアップにとって、教育は儲からないと言われることがしばしばあります。教育って時間がかかりますよね、子供たちが成長するまでにも時間がかかる。スタートアップにそんな余裕はないと。

clusterはエンタープライズの事業で回っていて、クリエイターの皆さんに使っていただいていて、既に色々なクリエイティビティが生まれている。それに支えられているので、腰を据えてやれそうだというのはあります。でもやっぱり、「メタバースで儲けたい」だけだったら、教育事業なんてやらないです(笑)。

クラスターは株式会社ですのでもちろん、株主の方も「最終的にどうやってリターンを得るか」ということを気にされると思います。

メタバースを日本の一大産業にするためにも、10年、20年といった時間をかけて、教育からやらないといけないんです。

子供たちがメタバースに慣れ親しんで、他者とコミュニケーションを取りながら色んなことを学び、クリエイティブな活動をする。それで市場も伸び、日本が元気になっていったら、みんなハッピーじゃないですか。

変な表現になりますが、長期で見ると安い投資だと考えています。

次回は、僕たちクラスターがこの教育分野にどう取り組んでいくのか、お伝えしたいと思います。

加藤直人◎クラスター代表取締役CEO、メタバース研究所所長。1988年大阪府生まれ。大阪府立天王寺高校から京都大学理学部に進学し、宇宙論と量子コンピュータを研究。同大学院中退後、約3年間ひきこもり生活を過ごす。2015年にVR技術を駆使したスタートアップ「クラスター」を起業し、2017年、大規模バーチャルイベントを開催することのできるVRプラットフォーム「cluster」を公開。現在はイベントだけでなく、好きなアバターで友達としゃべったりオンラインゲームを投稿して遊ぶことのできるメタバースプラットフォームと進化している。2018年に『Forbes JAPAN』の「30 UNDER 30 JAPAN」(世界を変える30歳未満30人の日本人)に選出。2022年、集英社より『メタバース さよならアトムの時代』を上梓。

連載:メタバース ∞ 創造力の時代

画像=クラスター 構成協力=でんこ 編集=宇藤智子

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