世界に通用するリーダーシップは、普遍的な黄金律
先日、Google上場前に株主でもあった先見性の高い、ハーバード大学のグレゴリー・スレイトン教授が来日し、青木代表と語らう場をもった。教授は、大学でリーダーシップについて講義している人物。日米のリーダーシップ論とは?谷本:世界に通用するリーダーシップを考えた時、どのような心構えが必要でしょうか?
青木:スレイトン教授と私の共通項からお話しましょう。私は29歳でバイブルに出逢い「何事でも、他の人々からしてほしいと望む通りのことを、他の人々にもそのようにせよ」という黄金律の考え方に共鳴を受けました。今回お目にかかったハーバード大学のスレイトン教授は、スタンフォード大学やマサチューセッツ工科大学でも教鞭を取る、頭脳明晰で素晴らしい方。一方、私は、八王子の鉄工所の見習いからスタートした義務教育しか受けていない叩き上げ。そんな2人が意気投合したのは、黄金律の考え方だったのです。つまり、日本であろうと、どの国であろうと、普遍的真理があるとするなら、この黄金律的なアプローチなんだと確信出来ました。
谷本:若い世代は社会貢献の意識が高いですが、年齢層の高い経営者には今ひとつ浸透していない現状について、何かメッセージをいただけますか。
青木:目先の損得ばかりを考えると長期的な繁栄はできないでしょう。私は人事院でも役割をいただいていますが、今課題となっているのは若手公務員の離職です。人を大切にする経営がこれからの時代の主流。AIの進歩が目覚ましいですが、AIは人のためのツールです。このDXの時代に私は真逆のことを言っているように思われるかもしれませんが、人のために、組織のために、社会のために尽くす、「for the team」が日本のよさであり強みではないでしょうか。
シンガポールは、国をあげて教育に投資しています。人に、もっというと若者に投資しないと勝てない時代です。35年間の経営をしてきてつくづく人の大切さを実感しています。人づくりが組織づくり。組織づくりが国づくりですから、もっと若い世代の教育に力を入れていきたいと。今68歳ですが、70歳になったら、手弁当でスーパーメンターとして活動しようかな、と考えているんですよ〈笑〉」。