経営・戦略

2023.07.21 10:00

次世代リーダー必見、令和流「人を動かす力」とは

谷本 有香
谷本:人間力を高めることは、企業の課題でもあると聞きます。先ほどのお話でもありましたが、青木代表が考える「価値」や「幸せ」とは、どのようなものなのでしょう?

青木:人生の究極の目的とは「幸せ」といえるでしょう。

「幸せ」というと漠然とした概念のように思う方も多くいらっしゃるかもしれません。哲学や宗教など、人の思考を作り出している学問はさまざまありますが、「選択理論心理学」の考える「幸せ」の定義をご紹介しましょう。1965年にアメリカの精神科医ウィリアム・グラッサー博士が提唱しました。世界60か国以上で学ばれ、カウンセリングや学校現場で使われています。

人の行動のメカニズムを理論化したものであり、人は誰もが「健康でいたい・安心安全でいたい」という生存の欲求、「誰かを愛し愛されたい」という愛・所属の欲求、「価値ある存在であると証明したい」という力の欲求、「精神的にも経済的にも自由でいたい」という自由の欲求、「新しいことを知りたい、知的好奇心を満たしたい」という楽しみの欲求の5つをもっており、この5つが満たされている状態を幸せだと定義しています。

ですから、この5つをバランスよく満たせる家庭づくり・職場づくり・社会づくりが大切なのです。例えば、働くという行為はなかなか「楽しい」と感じられていない人が多いのも事実。私はどうしたら職場を楽しくすることができるのか、働く人の個性を100%尊重しながら、目的を追求する組織づくりを探求してきました。「クオリティ」の追求が、家庭や職場、地域社会などあらゆる場で求められています。

弊社のご受講生で、元・高校ラグビー監督で、花園出場も20回以上成し遂げてこられた方がいます。その方はかつて勝つために選手へ正しさを押し付けるような指導をし、体罰で辞任されましたが、今はご自分を「しくじり先生」としてスポーツ指導における心理的安全性の重要性を説いておられます。スポーツでは「勝つ」ことで免罪符が与えられる側面もありますが、それでも勝つことだけがすべてではないのです。その方は今、勝つという目標の先にある、スポーツをとおして関わる人を幸せにするという目的を遂げるためのスポーツ指導を伝えています。
次ページ > 重視するのは「理と利の統合」

インタビュアー=谷本有香(Forbes JAPAN 執行役員 Web編集長) 文=中村麻美

ForbesBrandVoice

人気記事