宇宙

2023.07.14 14:30

いつ起こるかわからない隕石衝突と地球防衛の取り組み

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毎年6月30日は「国際小惑星デー(Asteroid Day)」だ。危機感を高めることを主な目的として定められた、珍しい日といえる。

今から115年前の1908年6月30日。天地を揺るがすような爆音とともに、空一面がまばゆい光に照らされ、広大な地域が一瞬にして破壊された。その広さは、現在の東京都(ニューヨーク市の2倍弱)とほぼ同じだった。それは、ロシア帝国領中央シベリアの上空で隕石が爆発した「ツングースカ大爆発」だった。

幸いにも、このとき破壊された地域は、シベリアを流れるツングースカ川の上流で、周辺に町などはなく、樹木がなぎ倒された程度の被害で済んだ。しかし、人里離れた場所ではなく、多くの人が住む大都市の上空で、同じような隕石が爆発したらどれほどの大惨事となり得るのか。それを考えるための日が国際小惑星デーだ。隕石の爆発は、何の前触れもなしに起こるかもしれない。

ツングースカ大爆発を目撃した人はごくわずかで、実際に何が起こったのかを解明するまでには、何十年もの月日を要した。115年前のその日、直径50mから60mとされる隕石が高速で大気圏に突入し、ロシア上空で爆発。それによる強力な爆風が、東京都とほぼ同じ広さの大地を瞬間的に破壊したと考えられている。

この隕石は、何の前触れもなしに地球に到達したため、備えることも、反応することもできず、衝撃を和らげるために身構える時間すらなかった。それから1世紀が過ぎ、歴史はまた繰り返された。2013年に同じような隕石がロシアに落下し、その火球が上空を横切るように線を描いたのだ。このときも爆風が発生し、ロシア南西部の都市チェリャビンスクでは、その衝撃波で多数の窓が割れたり、建物が倒壊したりした。

2013年の落下時も、前触れはいっさいなかった。21世紀に入ってから、隕石など地球に脅威を与える飛行物体が地球近傍から落下してこないかどうかを検知するする宇宙監視システムがいくつか稼働しているにもかかわらずだ(チェリャビンスクの隕石が飛来したのは太陽に近い方向からで、監視システムにおける顕著な盲点だった。NASAの次なるミッションは、この方向からの飛来を念頭に置いている)。

ツングースカとチェリャビンスクで起きた事象は、近現代における最も重大な隕石落下だとされている。この2つの隕石爆発に関する近年の研究から、どちらのケースも、大きな幸運に恵まれたことが明らかになった。分析の結果、ツングースカの隕石は、チェリャビンスクのものより大きめだったが、大差はなかった。しかし、落下の角度がチェリャビンスクよりずっと急だった可能性があり、それが原因で被害面積が広くなったようだ。

チェリャビンスクでは、軽傷者は500人近くに上ったが、死者はいない。一方のツングースカでは、3人が死亡したと考えられている。死因は、爆風で飛ばされて木に衝突したことと、心臓発作だったようだ。

ツングースカの隕石は、破壊力がより大きかったが、住む人が最も少ない地域の上空で爆発した。それに対して、チェリャビンスクの隕石は、100万人が暮らす都市に向けて落下してきたものの、威力はツングースカよりも弱めだった。私たち人類にとっては、運がよかったと言える。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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