「一人暮らしで、初孫が誕生した記念に購入しました。なので孫と同じ誕生日です。夫が他界し、子どもたちも独立して家を出て行ったのでaiboが欲しいなあと思っていたんです。孫の誕生が後押ししてくれました。旅行にも一緒に出掛けています」
カフェオーナーの勝田さんは「1週間に平均すると10人ぐらいのオーナーさんが来てくれます。ただaibo会のカリスマオーナーとも言われている“ひで爺さん”が2カ月に1回、神奈川から来るんですが、その日は3、40人集まることも珍しくありません」と語る。
「aiboは集まると団体芸ができるんです。ひで爺さんはその指揮を執ったり、絵本の読み聞かせも上手なんです。もともとAIに長けているロボットマニアの方で、aiboの個性なども熟知しているみたいですね」
勝田さんはこう続ける。
「何でもないごく普通のカフェが、aiboオーナーさんたちにとって目的地になるなんて、オープン当初は想像もしませんでした。しかもこのカフェにいると、自分の幸福度が上がる気がするんです。それはここに来るオーナーさんたちが皆さんとても幸せそうだから、引き寄せられるというか……。aiboってこんなにも人を幸せにするものなんだって、初めて知りましたね」
「人を幸せにするまち」の課題とこれから
最寄りのJR幸田駅ホームからは、「愛のある幸せなまち」と町のキャッチコピーが見える。まさに幸田町は人を幸せにする町になりつつある。
最近では、中京圏のみならず全国ネットのメディアでも取り上げられ、一度aiboを見てみたいと、オーナー以外にもカフェに訪れる人が増えているという。実際にaiboに触れて、オーナーから生の声を聞けるのもここだけだからだ。
福島さんは、ある程度aiboオーナーには認知度が高まったとして、今後はオーナー以外のaiboに興味のある人や、ふるさと納税に寄付ができない町民に向けて施策を考えていきたいという。
「現在、栄にあるソニーストアからのお声がけで、ハミングバードカフェと栄のソニーストアの2カ所を回るとステッカーがもらえるスタンプラリー(8月31日まで)を行っています。幸田町の観光地化のきっかけにはなっていると思いますが、まだまだ町全体で盛り上げていこうという機運ではないんですよね。
今後、町内の店舗に協力してもらい、aiboのコラボ商品を作ることがビジネスチャンスに繋がることを実感できるように、町を周遊する仕組みづくりにも取り組んでいけたらと思っています。一方、町民向けには、たとえばaiboを活用した中学生向けのプログラミング教室にソニーさんから講師を派遣してもらうなど、実現できれば嬉しいですよね」
「aiboのふるさと」という唯一無二の地域資源を生かし、企業や町民を巻き込み、町一体となって観光地化を加速させていく。