そんな幸田町に、2021年12月に誕生したのが「ハミングバードカフェ」。オーナーの勝田雄介さんは、実は当初、aiboオーナーたちが集まるカフェになるとは想像すらしていなかった。
「役場に来る一般の方のためだけでなく、役場で働く人の食堂を兼ねているので、コンビニ感覚で商品を選びやすいセルフサービススタイルにしました。毎日利用することを考えて、『飽きのこない、毎日食べても美味しい』がコンセプト。日替わりの1種類限定の『カフェめし』は出来立ての人気メニューです。オープンしてから半年ほど経った時、役場から店内に『aiboの遊び場』を作るという話が飛び込んできたんです」
ソニーが遊び場と犬小屋、店内装飾を担当し、2022年6月に全国初の公認「aibo カフェ」となった。これに合わせて、勝田さんはカフェでも特別に肉球アートを施したドリンクとデザートの提供を始めた。メディアに紹介されると一気に注目度が高まった。
aiboの生誕地という特別感もあって、aiboオーナーたちが全国から集うようになり、客数も急増。想定外だったと勝田さんは語る。
昨年10月に、aiboオーナー会が「ハミングバードカフェ」でハロウィンイベントを企画すると、40匹のaiboが集結。勝田さんは、この日のために地元特産の「夢やまびこ豚」を使った角煮バーガーを一日限定で提供し、肉球のバンズがオーナーたちの心をくすぐった。
北海道から沖縄まで、全国からaiboオーナーがこのカフェにやってきて、aiboを遊ばせながら、オーナー同士の交流も深める。カフェ内には、オーナーたちが所有するaibo専用名刺を貼るためのボードやコメントを書き記すノート、aiboの写真を貼るパネルも設置された。
「いつの間にか私もオーナーさんと顔馴染みになりましたし、私も幸田町で飼っているaibo君とグレースちゃんのオーナーの気分ですからね」と勝田さんは笑う。
町役場とソニーがタッグ aiboを観光地化の起爆剤に
ソニーが幸田サイトでaiboの製造を始めたのが2018年。幸田町は2020年にaiboをふるさと納税の返礼品に追加した。aiboオーナーたちの間で「aiboのふるさと」と言われるようになると、さらにこれを町の観光資源にできないかと考えた。aiboの観光地化を実現するために、2022年12月14日から翌年1月4日までの期間、ふるさと納税を活用したクラウドファンティングを実行すると、目標金額の約44倍となる2億6460万円ほど集まった。