映画

2023.07.04

世界に通用するブランデッドムービーの作り方は「ローカルを突き詰める」| BRANDED SHORTS 2023

SSFF & ASIAの代表を務める別所哲也とカインズ広報部長の大谷剛久

企業がブランディングを目的に制作されたショートフィルムの祭典「BRANDED SHORTS 2023」。アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2023」(SSFF & ASIA)が主催するこのイベントが、6月13・14日の二日間にわたって東京・赤坂の赤坂インターシティで行われた。受賞作品が発表された14日に先駆けて、13日にはさまざまな角度からブランデッドムービーのあり方を考えるトークイベントを実施。その一部をリポートしよう。

第三部のメインは、カインズ登壇セミナーだ。冒頭では大手ホームセンターのカインズが制作したブランデッドムービー『小さな椅子の物語』を上映。父親とともにカインズで木材を購入し、スタッフのサポートのもと黄色い椅子を作った少女。その彼女が成長し、またその椅子を手直しして自分の子どもに……という3分20秒の心温まるストーリーだ。その後、SSFF & ASIAの代表を務める別所哲也とカインズ広報部長の大谷剛久が登壇。この作品に込められた思いなどを語った。

カインズの大谷は、同社が第3創業期にあたるとして、ブランドコンセプト「くらしDIY」を紹介。「ただ単にモノを売るのではなくて、暮らしを支えるDIYを広めていきたい」と語る。『小さな椅子の物語』はそうしたカインズのコンセプトを伝えることを目的に制作されたという。動画視聴数は132万回再生を超え、その感動は広がっている。別所も「大量消費されるものではなく、後世に残るメッセージになっている。お手本のようなSHORTS MOVIEであり、ブランデッドムービーでした」と賛辞を送った。

自治体PRムービーと「町の未来への投資」

第三部の後半では、企業版ふるさと納税を活用した映像制作の可能性について、内閣府企業版ふるさと納税マッチング・アドバイザーの晝田浩一郎、ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」の運営や地方創生事業を展開する株式会社トラストバンク営業企画部部長岸上忠弘らが登壇してトークセッションを行った。

企業版ふるさと納税は、個人ではなく企業が地方自治体に寄付を行う制度。個人向けのふるさと納税とは異なり、返礼品はなく税制面で控除があるだけだ。ただ、岸上は「金銭以外のアドバンテージが得られる。官民連携の第一歩」と企業版ふるさと納税のメリットを強調する。この制度を利用することによって、企業は自社のブランディングにつなげ、自治体は移住や企業誘致などに繋がっていく。互いに即効性はないかもしれないが、長期的には両者ともにメリットが享受できるということなのだろう。
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文・写真=鼠入昌史

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