ローカルを突き詰めれば、世界に通じる
そして13日のトークイベントの締めくくりは、「国際的に評価されるブランデッドムービーの設計手順とクリエイティブノウハウ」と題し、浅井雅也(Droga5チーフクリエイティブオフィサー)・大野広樹(Club A CMディレクター)・Tim Mituaki Otsuki(Black Cat White Cat Music Chief Dvelopment Director)・佐藤カズー(クリエイティブディレクター)の4人のクリエイターが登壇。海外でも評価を受けるブランデッドムービーについて語り合った。国内と海外では、評価されるMOVIEの基準は必ずしも一致しない。海外のほうが、日本国内よりも勇気のあるメッセージが評価される傾向がある。ただ、「グローバルということはあまり考えないようにしている」と、海外クライアントのブランデッドムービー制作経験が豊富な大野は語る。ローカルを突き詰めるとそれが本質を捉えることになり、世界にも通じるという。グローバルを意識しすぎることで、同じような作品ばかりになってしまう可能性もあり、「自分たちの持っている味こそが世界に評価されるのではないか」とTimもコメントした。
そして、「日常にエンタメがあることは幸せ。万人に好かれようとせずに、一部の熱狂的なファンをつくることがブランドをつくること」と浅井が言い、思い切った内容のブランデッドムービーを制作することの意義を強調。大野も広告の賞ではなく、映画寄りの賞で評価されることの重要性を説いた。国内からもグローバルで評価されるブランデッドムービーが多く生まれることへの期待感で、このセッションは締めくくられた。
さまざまな観点でブランデッドムービーの可能性を語るトークイベント。いずれのセッションでも、広告ではなくブランディングという、これまで国内では主流ではなかった動きの中で、新しい可能性が開かれることを感じさせてくれた。翌14日のBRANDED SHORTS 2023受賞作品発表のセレモニーに向けた、最高の“前夜祭”であった。