そして続けて、企業版ふるさと納税を活用して実際に制作されたムービーが紹介された。愛知県蒲郡市の『∞(むげん)ゾッキシリーズ』と、岐阜県飛騨市の『雑魚どもよ、大志を抱け!』。それぞれの作品制作に携わったクリエイターや自治体の関係者らが登壇した。
蒲郡市役所のシティセールス推進室室長の小山道徳は、「市税を使うことなく企業版ふるさと納税で賄えた。一般公開前に市民に先行公開し、市民のワクワク感を引き出すことができた。こういうことが継続性につながる」。また、『∞ゾッキ』のプロデューサー・伊藤主税は、「力のある方々が若者や地域を助ける仕組みが出来ないか」と語る。「ひとつのことをやり遂げるコミュニティができあがり、そこに支援企業とのつながりができ、ものづくりに対する思いを共有する仲間を増やしていくことが必要なのではないか」とクリエイターの立場からコメントした。
飛騨市役所企画部総合政策課秘書室係長の横山理恵も「自治体には年度予算の制約があるため、どうやって映像制作を支援できるかを検討し2か年度にわたって活用できる制度を設けた。そうした中で、企業版ふるさと納税は財源として有効に活用でき、どうしたらロケ地に飛騨を選んでもらえるかといったロケツーリズムの課題の解決にも役立っている」と意義を語った。
「おもしろくて、かつエビデンスがあるものを」
第三部に続けて行われた第四部は、診断の革新によりヘルスケアの未来を創るロシュ・ダイアグノスティックスのブランデッドムービー『さいしょに病気とたたかう薬は検査薬だ』の上映からスタート。その後、同社の代表取締役社長兼CEO小笠原信と作品のクリエイティブディレクターを務めたジェイアール東日本企画の山口広輝が登壇。SSFF & ASIAフェスティバルナビゲーターのLiLiCoの司会のもとで、ブランデッドムービー施策について語り合った。「初恋の人と結婚する確率=1%、野球場でホームランボールをつかむ確率=0.026%、など私たちの身の回りにある知られざる確率が数字で提示される映像の中で、最後にドキッとするような数字が現れて……。わかりやすくて、それでいて検査の大切さを訴えるMOVIE」とLiLiCoがコメント。山口は「検査をしてもらうといっても、啓発的なメッセージだけでは見てもらえない。映像化しておもしろくて、かつエビデンスがあるものを、ということでスタッフ数人で必死にいろんな数字を探した」と笑いながら振り返る。小笠原も、「検査の大切さを一般の人に伝えるためにはどうすればいいか、勉強になった」とコメント。最後にLiLiCoが「怖がらずに検査する。これがいちばん大切なんです」と強調して、第三部の前半は終了した。