キャリア

2023.06.30 08:30

クリエイター「妄想する決算」流、好きなことをして暮らす方法

成相 通子

Getty Images

自分の好きを仕事にする。憧れの生き方だが、本当に食っていけるのか、好きなことを仕事にして後悔しないか。不安や疑問はつきない。2023年3月25日に発売したForbes JAPAN5月号。そこで掲載した「Forbes JAPAN クリエイター100」の中から、印象的だったクリエイターの生き方を紹介したい。

今回紹介するのは、「妄想する決算」さん。音声配信サービスVoicyの人気パーソナリティだ。彼が発信するコンテンツは企業の決算報告書。ひたすら決算を紹介する彼のコンテンツに耳を傾けるフォロワーは2万人あまり。

取材時は、東南アジア諸国を転々とする悠々自適な生活を送っていた。どのようにクリエイターとしてのキャリアを歩み始め、人気を集めるようになったのか。「お金でも、承認欲求でもない、不思議な感覚で続けている」と話す彼のクリエイター活動を続けるコツを探った。

──いまのクリエイター活動について教えてください。

いまは週4回ほど、さまざまな企業の決算について発信して、週2回はそれ以外の話で週6回ほど音声配信をしています。無料で聴けるものが中心ですが、そのうち1回はプレミアム放送という有料課金放送です。決算以外の話は、自由に何でもその日に思ったことを話しています。ウェブメディアでたまに依頼を受けて記事を書くこともありますが、それ以外の仕事はほとんどしていないんです。

──1回ごとに、各企業の決算書をもとに丁寧に決算情報を解説されていますが、どのように企業を選んでいますか。

以前はなるべく多くの人に聞いてもらいたいと選んでいましたが、最近はそれよりも自分の興味のあるものを中心にしゃべっています。クリエイター活動は、将来、見返したときに自分の「日記的なもの」を作っているという感覚なので、たとえば、全国旅行支援という政策があったら、旅行業界はどうなっているのかを調べてみたり。そのときそのときの興味に従っているという感じです。

決算以外の話もそうですが、こだわっているのはなるべく自分の考えたことを話すこと。誰かのコピペにはならないようにしています。オリジナルを目指したいんです。結果として誰かと同じようなことをしゃべっているとは思うんですが、なるべく見返したときに自分はこんなことを考えていたのかとわかるものを作りたいと思うんです。

もちろん、コンテンツを作る以上、リスナーさんのためにつくるというのはゼロではないけれど、それよりも自分のためにという思いが強いです。あと、自分が興味持っているものは誰かも興味を持つだろうという気持ちもあります。回数を重ねてくると、これをやったら流行るだろうとか、再生回数は増えるだろうというのが想像はつくんです。でもそれは僕が作らなくても他の誰かがつくりますよね。それを自分が頑張ってつくる必要はないと感じるんです。
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