キャリア

2023.06.30 08:30

クリエイター「妄想する決算」流、好きなことをして暮らす方法

──妄想する決算さんが決算書に興味を持ち始めたきっかけはありますか。

大学は経済学部でしたが、普通の大学生でした。で、「なんか働きたくないな」という陥りがちな病にかかってしまって(笑)。じゃあどうやってご飯を食べていこうかと思った時に、ちょうど家族の関係で500万円ほど手に入ることになって、これをもとに投資で食べていこうという甘い考えを持ちました。そこから決算書を読むようになったんです。

叔父が経営者で、大学生のときに叔父の会社を手伝っていたことも大きかったです。叔父とすごく仲良くなって。投資してみろって言ってくれました。そこで、気になる企業の株でも買ってみようと。就職したくないという気持ちもあった。2013年ごろ、ちょうどアベノミクスで、素人がやっても儲かるような時期でした。あまりいい投資方法ではないですが、とにかくいっぱい突っ込んで、運用益でなんとか生活していけるぐらいは稼いでいました。

──それから一度就職していますね。

26歳のときに一度就職しました。投資をやって2年目、3年目になったときに、投資だけの人生は非常につまんないと思ったんです。周りの友人は「こういう仕事をした」とか、「新しい人と出会った」とか新しい経験をしているのに、自分はただパソコンに向き合って投資しているだけ。そう考えたときに「この人生はちょっとやばいな」と思いました。

投資を始めても大学は続けていて、大学は8年生まで通って卒業し、新卒で働き始めたんです。26歳で就職すると思ったときに、東京の大企業に入っても出遅れてしまっている、それならば地方なら勝てるかもしれないと地元の福島に帰りました。

就職したのは、福島県の地元企業でした。仕事をしているうちに、これは自分で(独立して)やったほうがいいなと思って、入社して1年経たないうちに起業したんです。

最初は、地元のつながりでお客さんを紹介してもらって、ある程度実績ができたらそこからまた仕事が取れるようになっていきました。そのなかで、そのときも決算書を読んでいたので、たとえばこの業界ではこういう事例がありますよね、という話をすることも多かったです。経営者は投資が好きな人も多いので、企業の決算情報はとても喜ばれたんですよ。ずっと決算書は読んでいましたね。

──いつごろから決算情報をコンテンツとして発信し始めたんでしょうか。

仕事もある程度要領をつかんでくると時間が空いてきたんです。その時間に何をしようかなと思ったときに、仕事ではリアルに人と会って話をしているので、オンラインで何かやってみようかなと思ったんです。そこでnoteに決算を書き始めたのが始まりです。

目標があったわけではなくて、とりあえず始めてみようと思って。なんでもいいわけではないですが、調べてみると決算書は数をたくさん出している人がいなかったんです。週1回や月1回ほど決算について書いている人はいるけど、毎日出している人はいない。だから数をいっぱい出したらどうにかなるんじゃないか。そう考えてまず毎日書いてみようと始めました。毎日2、3時間かけて書いていました。

自分の唯一の強みだと思っているのは、やると決めたらやりきれること。毎日書くと決めたから書くという感じで続けていました。

最初はそれほど閲覧数も増えなかったですが、始めたばかりだから気にせずにやり続けました。2020年に初めて、1年半近くやっていて、閲覧数は微増を維持して伸びている感じでした。無料で公開していて、多くの人が取り上げていない企業をあえて取り上げていたので、その企業を検索した人が見にきてくれていましたね。
次ページ > 音声配信Voicyをはじめたきっかけとは

ForbesBrandVoice

人気記事