巨大マゼラン望遠鏡の巨大な主鏡は、直径8.4mの鏡、7台で構成される。そのうち6台はアリゾナ大学リチャード・F・カリス鏡研究所ですでに製作を終え、7台目は今年中に完成する予定だ。
これらの鏡の長い旅路を想像してみるのもよいだろう。おそらくそれらはヒューストンまで陸輸された後、船でパナマ運河を渡り、南米の海岸に沿ってチリ中部のコキンボ(あるいは別の港)に到達する。その後トラックでパンアメリカンハイウェイを(非常に)ゆっくりと進み、山岳道路を通ってラス・カンパナス天文台に届けられる。
徐々に形になりつつある巨大マゼラン望遠鏡(GIANT MAGELLAN TELESCOPE – GMTO CORPORATION)
地球大気との戦い
皮肉なことに、遥か彼方の系外惑星の大気を調査する競争は、地球の擾乱(じょうらん)大気に妨害され、画像は鮮明さを失う。だから宇宙望遠鏡が発明された。しかし、最新の地上望遠鏡は、巨大マゼラン望遠鏡を含め、補償光学と呼ばれるスマートなシステムによって、大気によるにじみを修正することができる。波として地球の大気を通過した光は「不安定になってポテトチップのように波打ちます」とバーンスティンはいう。「その波打ちを測定し、正反対の形状を可変鏡にあてがうことで、波を完全に平滑化します」巨大マゼラン望遠鏡の補償用副鏡は、主鏡の表面を1秒間に2000回変形させることで大気の乱流に適応することができる。この技術は数十年前からあったが、この新時代が以前と違うのは、鏡を制御するアルゴリズムが進化し、鏡を動かすアクチュエータがいっそう小型化されたことだ。
驚くべきことに、その結果は宇宙ベースの望遠鏡を超える品質の光学画像だ。JWSTの主鏡は直径6.5mしかない。
新しい望遠鏡が必要な理由
巨大マゼラン望遠鏡は米国超大型望遠鏡プログラムの一環だが、5カ国、13の科学機関からも支援を受けている。計画が始まったのが2003年という大規模な事業だ。「こうして進歩を続けていくのです」とバーンスティンはいう。「宇宙物理学は、基礎物理学、素粒子物理学、生物学、地質学および化学に膨大な影響をもたらします。そしてもし投資を続けなければ、もし各世代が次世代のツールへの投資を怠れば、進歩を続けることはできません」
(forbes.com 原文)