系外惑星を調べる
JWSTと協力して行う研究の良い例が、地球からわずか4光年にある、知られている最も近い系外惑星プロキシマ・ケンタウリbの観測だ。「巨大マゼラン望遠鏡を使って直接撮影し、惑星大気に生命の痕跡があるかどうかを調べるためのスペクトルを取得します」とバーンスティンはいう。「JWSTは赤外線科学を実施するために作られました。長い波長の光を使い、地上からでは困難な観測を行います。しかし、可視光の波長を必要とする非常に重要な学問もあるのです」。プロキシマ・ケンタウリb(および他の居住可能性のある系外惑星)の大気の可視光スペクトルを調べることで、科学者は系外惑星大気の化学組成が生物学的につくられたものか、地質学的につくられたものかを、より確実に知ることができる。もう1つ、系外惑星の研究に光学望遠鏡が必要であるもっと基本的な理由がある。居住可能性のある系外惑星は涼しくなくてはならない。「高温の系外惑星は赤外線望遠鏡で見ることができますが、より低温の系外惑星を研究するためには、惑星が中心星からの光を反射した光を見ることのできる望遠鏡が必要なのです」とバーンスティンはいう。
系外惑星を撮影する
最終的に巨大マゼラン望遠鏡は、系外惑星が中心星を周っているショートビデオを撮影できるようにする。「中心星を遮断します。太陽の近くにいる小鳥を見たいときに手で太陽を遮るのと同じように。そして非常に高度な光学制御装置を使うことで、小さな光源として中心星を周回する系外惑星の十分精細な画像を作ることができます」とバーンスティンはいう。このような直接的画像化によって科学者は以下のことが可能になる。・新たな系外惑星を発見できる(現在、系外惑星のほとんどはトランジット法あるいは視線速度法を使って発見されている)
・系外惑星の色を異なる波長で測定することで、組成をより深く理解する
・化学組成を測定する
・反射性を理解する
・岩石惑星かガス惑星かを見分ける
・コア組成の理解を深める
「これらの系外惑星からの光を分光分析することで、大気中の分子を測定することもできます」とバーンスティンはいう。「それは、生命存在の可能性を理解するためおよび宇宙におけるさまざまな種類の惑星の分布を理解するための鍵です」