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2023.06.25

茶人と教育者が語りあう、「哲学する人間」を育てる重要性

山田長光 茶道宗徧流不審庵 11代家元 山田宗徧(左)高濱正伸 花まる学習会/こうゆう代表(右)

茶道とはただ作法を学ぶことにあらず。茶道山田宗偏流11代家元の山田長光と、個性を伸ばす体験型学習塾として知られる「花まる学習会」代表の高濱正伸は、「哲学する人間」を育てる重要性で意気投合し、交流を深めている。茶道宗偏流不審庵の鎌倉の拠点を訪ねた。


美意識を鍛え本質を突く。「市中の山居」の価値観を世界に広げ、次世代リーダーを育てます。

山田長光:高濱さんと出会ったのは、経済人が集い未来を話し合う「G1サミット」がきっかけ。妻の山田理絵がジュニア向けプログラムの代表で、高濱さんに登壇や講師を依頼して以来、交流を深めています。

私が11代家元を務める茶道宗偏流不審庵は、360年の歴史があります。茶道のいちばんの魅力は、茶道を愛する「人」そのもの。茶道はこれまで時の宰相や政財界の要人など多くのリーダーたちに愛され、茶室は社交や意思決定の重要な場でした。茶人の思想や哲学を通じて、歴史や文化を知り、ケーススタディを学ぶことで、現代を生きる私たちの美意識や文化的支柱を強くしてくれるでしょう。

世界のリーダーに向けた新たな取り組み「UrbanCabin Institute」にも力を入れています。日常の雑事を忘れ、山居で自分の心と向き合う。茶道の「市中の山居」という考え方を軸にした価値観を世界に伝えるためのプログラムを実施しています。
山田長光◎茶道宗偏流不審庵 11代家元 山田宗偏 1966年生まれ、神奈川県出身。上智大学外国語学部に在学中、21歳で茶道宗偏流11代目家元を継ぎ、24歳で宗偏を襲名。理絵夫人とWABI(侘び)、SUKI(数寄)をテーマに「市中の山居」を目指す「Urban Cabin Institute」を主宰する。

やまだ・ながみつ◎茶道宗偏流不審庵 11代家元 山田宗偏 1966年生まれ、神奈川県出身。上智大学外国語学部に在学中、21歳で茶道宗偏流11代目家元を継ぎ、24歳で宗偏を襲名。理絵夫人とWABI(侘び)、SUKI(数寄)をテーマに「市中の山居」を目指す「Urban Cabin Institute」を主宰する。


いまは建築も芸術も暮らしも洋風になり、日本に暮らしていても歴史や文化を知らない人が増えています。歴史観も浅く、近視眼的。子どもたちやその親たちには、いまこそ日本について学んでほしい。茶道が果たせる役割は大きく、高濱さんと一緒にできることもたくさんありそうです。

日本の未来を支える子ども教育の重要性で意見が合致。仲間との食事会で情報交換を行う。

日本の未来を支える子ども教育の重要性で意見が合致。仲間との食事会で情報交換を行う。

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文=松下久美 写真=若原瑞昌

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年6月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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