ソニーと富士フイルムの大御所デザイナーが、会社の枠を超えて盟友となった理由

ソニーデザインコンサルティング代表取締役社長の長谷川 豊(写真左)と富士フイルム 執行役員 デザインセンター長の堀切和久(写真右)

ビジネスリーダーの私的な交遊を通して、彼らの“裏の顔”に迫る連載「エグゼクティブ異種交遊録」。

今回は、ソニーデザインコンサルティング社長の長谷川豊と、富士フイルムのデザインセンター長を務める堀切和久が登場。

日本を代表するメーカー企業でインハウスデザインの長を務める2人は、偶然にも同い年。音楽の趣味で意気投合し、会社の枠を超えて盟友となった大御所デザイナーが、恵比寿のロックバー「Sailin’ Shoes」で語り合う。


共感でつながっている唯一無二の相手


長谷川 豊:堀切さんとは7年前、電子機器系35社のデザインセンター長が集う会合で出会いました。

同い年で、2人とも10代のとき、自由が丘にあったロック喫茶「チャーリーブラウン」に通っていたとわかり、「絶対、会ってたよね」と。以来、定期的に飲んでは、音楽やデザインの話で盛り上がっています。

若いころからロックやジャズ、テクノなどを体験。シュガーベイブから、レコードが擦り切れるまで聴いた山下達郎、サディスティックス、高中正義、YMO、プラスティックス。海外ではKISS、リー・リトナー、ドゥービー・ブラザーズ、アース・ウインド&ファイアーなどに影響を受けました。

大学時代には、ブルーグラス(アメリカ民俗音楽の一種)にハマってドブロギターを購入。バンドの一員として八王子のスナックで演奏して小遣いを稼ぎました(笑)。


はせがわ・ゆたか◎1961年、神奈川県生まれ。東京造形大学卒。90年ソニー入社。商品やコミュニケーション等を多彩にデザイン。2014年にソニークリエイティブセンター長、20年にソニーデザインコンサルティング初代社長就任。デザイン経営を推進する。

音楽とデザインはともにスタイルがあり、シンクロしています。だから、音楽の好みからユーザーのスタイルを想像してデザインすることも。

堀切さんとはほぼ同じ音楽を聴き、デザインでは共にディーター・ラムス、シド・ミード、ルイジ・コラーニなどをバイブルとしてきました。感覚やカルチャーが合うし、インハウスデザインのトップとして戦う者同士、共感することばかり。一生の盟友です。


ギターやバンジョーなど、弦楽器だけで構成されるブルーグラスバンドで演奏していたころの長谷川。
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文=松下久美 写真=若原瑞昌

この記事は 「Forbes JAPAN No.096 2022年8月号(2022/6/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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