茶道には軸になるものが凝縮されています。生徒や親にも体験させ哲学の回復に役立てたい。
高濱正伸:自分のやりたいことがわからない大人が増えています。偏差値の高い学校や大企業に入ることが偉いと思い込んだり、優秀かどうかだけを価値基準にしたりしているうちに、自分を見失ってしまうのかもしれません。私たち花まる学習会が目指すのは、自立した「メシが食える大人」を育てること。他者と比較したり人の目を気にしたりせず、自分の道を楽しみ人生を満喫できる人間です。そのためには「思考力」「国語力」「野外体験」が不可欠。親の意識を変える講演活動にも力を入れています。日本はノーベル賞の受賞者も多く、茶道や華道、武道などの「道(どう)もの」と呼ばれる奥深く高度な文化も根付いています。でも、いまの大人たちには哲学がない、自信もない、子どもたちのしつけ方もわからない。そんな状況のなかで、結晶のように磨かれた美しい茶道の作法や人間を知り尽くした哲学は、よりどころになってくれると思うんです。
山田さんは文化の継承者。家元として背負う歴史の重みが違います。なのに人柄はフランクで、そのギャップもいい。花まる学習会のお茶の水教室内に「市中の山居」を構えて、生徒やその親たちに、私たち日本人がもつ文化的財産や、これからの正すべき座標軸を教えていただきます。
「エグゼクティブ異種交遊録」は、能動的に出会いを求めるアクティブな経営者たちを繋ぐ「場」と「機会」を提供するコミュニティ、Forbes JAPAN SALONの会員をつなぐ連載です。