スタートアップ

2023.06.13 15:00

「デジタルツイン自動生成」技術で世界的革新企業へ

Forbes JAPAN編集部

投資家 千葉貴史(左) 起業家 佐藤航陽(右)

佐藤航陽は2017年1月、衛星データから地球の「デジタルツイン(仮想空間で現実世界を再現)」を自動生成するAI開発のスペースデータを設立。同社は、1. 衛星データ、2. AI技術、3. 3DCGの3つの技術を軸に研究開発する宇宙関連企業だ。

メタバースから都市開発、自動運転、防衛・防災、宇宙開発まで多様な領域への応用が期待される独自技術をもつ。同社は22年8月、シードラウンドで総額14.2億円の資金調達を行なった。

千葉貴史がパートナーを務めるSpiral Capitalは、同ラウンドでリード投資を行なった。


千葉:佐藤さんとはじめて会ったのは、7年前。共同創業者としてCFOを務めていたスタートアップを退職して、現在のSpiral Capitalの創業に参画するタイミングでした。お会いしたのは、メタップス現社長の山崎(祐一郎)さんが新卒時代の1つ上の先輩で、入社を誘われたことがきっかけ。当時は縁がなかったのですが、いつか一緒に仕事をしたいと思っていました。

そこから時を経て、佐藤さんが21年、クラウドファンディング上でスペースデータの事業を公開した際に、ピンときて連絡しました。当時は資金調達する予定はなさそうだったのですが、「資金調達する際には投資したい」と。

佐藤:今回の資金調達についてはVCを回るということをせずに、もともと興味をもってもらった方々にだけお声がけして、百発百中でクローズしました。千葉さんには一番にお声がけいただいていましたから。

スペースデータは、もともと趣味で始めたプロジェクトで、事業化するつもりはありませんでした。はじめた当初は、メタバースやデジタルツインのような言葉はなく、「映画『マトリックス』のような世界観をつくろう」と私財を投じて進めていました。

当時は、上場企業の経営者という立場でもあり、社内事業では収益性や採算性という観点から言えない。であれば、市場や株主とも離れたところで、自分が本当に素晴らしいと思うものをつくってみたいという思いがありました。

その後に、Meta社がメタバース領域に1兆円の投資をするなど、気が付いたら、世の中の流れの「ど真ん中」にいて、ポケットマネーだけでできる範囲で終わらせるのはもったいないと思ったことから資金調達をしたんです。
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文=山本智之 写真=平岩 亨

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