さらにメタバース市場が盛り上がるなかで、スペースデータ社の衛星データ、AI技術、3DCGの3つをかけ合わせて、自動生成するという「技術の独自性」があり、世界規模の大きな市場のインフラ的ポジションを獲得できる点。メタバース領域や産業のスマートシティのようなデジタルツイン領域をはじめ、直近の文脈でいうと、「ジェネレーティブAI」とも言える、無限の可能性のある技術。3D空間の自動生成は世界的に見てもありません。
佐藤:ただ、今期から黒字化が見えているので、お金の使い道があまりない(笑)。オフィスもなく、クラウド上に存在する組織で、メンバーは20人程度ですが、一度も顔を見たこともありません。今後はDAO的な組織の方がスケールするとつくったため、コストも、私のマネジメントコストもかからない。プログラムのような組織になっています。
千葉:今後について期待しているのは、仮想現実が現実世界とほぼ区別がつかなくなるという不可避な未来のなかで、インフラとなる「真の革新的な企業」になってほしいということ。佐藤さんのような経験がある起業家がいて、世界的にもユニークな技術を持っており、かつ、資金もあるので、大きなチャンスがある。だからこそ、本当の意味での長期的な時間軸で、大きく育っていく会社になってほしい。そのときには会社というかたちではない姿に進化しているかもしれませんけど。
佐藤:私は、できるだけ人の期待に応えないことが大事だと思っています。つまらない会社になっていく原因は、人々の期待に応えたいという思いからくるのではないか、と。いま、世の中の人から価値を認めてもらえているのは「私の趣味」だから。素晴らしいプロダクトをつくることを起点に、極限まで自分の発想やオリジナリティを信じて突き詰めたい。上場についても、事業・組織同様に、出口も独創的でいい、と思っています。
ちば・たかし◎Spiral Capitalパートナー。ドイツ証券、カーライル・グループ、イタンジ取締役COO/CFOを経て、2016年6月より現職。主な投資先は、スペースデータ、Luup、ナッジ、LabBase、GITAIなど。(写真左)
さとう・かつあき◎スペースデータ代表。2007年9月、早稲田大学在学中にメタップスを設立。ビッグデータ解析、オンライン決済事業を立ち上げ、世界8カ国で展開。15年に東証マザーズに上場。2017年にスペースデータを創業した。(写真右)