2023年フォーブス「日本長者番付」発表、首位は今年も柳井正

Photo by Edward Wong/South China Morning Post via Getty Images

新型コロナウイルスのパンデミックが落ち着きを見せ、日本を訪れる外国人観光客が増加、国内消費も上向き始めたことが、2023年第1四半期の日本経済の回復を後押しすることとなった。フォーブスが毎年発表する「日本長者番付」に入る富豪50人の資産の合計額も、前年から2桁台の増加率となった。

トップ5に名前を並べたのは、前年と同じ顔触れだった。首位を維持したファーストリテイリングの会長兼社長、柳井正の資産額は、傘下の衣料品大手ユニクロの売上高が急増したことを受け、前年比50%増の354億ドル(約4兆9700億円)ととなった。前年より118億ドル多く、50人のなかで最も大幅に資産を増やしている。

前回に続いて2位につけたのは、ファクトリー・オートメーション用センサなどを手掛けるキーエンスの創業者、滝崎武光。資産額は同10億ドル増え、約226億ドルとなった。

3位も前年と同じ、ソフトバンクグループの創業者、孫正義だった。投資損失が大きく影響し、ソフトバンクグループが2023年3月期連結決算で73億ドルの損失を報告。孫の保有資産も前回の211億ドルから減少し、209億ドルとなった。4位と5位も変わっていない。4位はサントリーホールディングスの佐治信忠。資産額はは10億ドル増の103億ドルだった。5位は亡父が創業したユニ・チャームを受け継いだ高原豪久だった。資産額は11億ドル増の75億ドル。高原の資産の増加は主に、ユニ・チャームの売り上げが好調なこと、それによる同社株価の22%の上昇によるものだ。

番付に入ったビリオネアのなかには、前年より保有資産を減らした人が十数人いた。7位から13位に順位を下げた楽天グループの創業者、三木谷浩史がその1人だ。グループ子会社のインターネット専業銀行、楽天銀行は上場を果たした一方、損失を出し続けるモバイル事業への投資を続けていることが、その主な要因。保有資産は18%減の36億ドルとなった。

今年初めて番付に名前を並べた富豪は、ビデオゲーム制作会社カプコンの創業者で、カリフォルニアにワイナリー「ケンゾー エステイト」を所有する辻󠄀本憲三(41位、12億ドル)を含む3組。

大栄環境グループの共同創業者、金子文雄社長(43位)の資産額は、11億ドルだった。また、3月に死去したセブン&アイ・ホールディングスの伊藤雅俊名誉会長の子どもたちが、遺産相続により初めてランク入りしている(6位、47億ドル)。
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編集=木内涼子

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