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2025.04.03 13:30

世界初、低活動膀胱の治療薬創出へ、Juro Sciencesの役割

三澤宏之|みやこキャピタル(写真左)長袋 洋|Juro Sciences(同右)

三澤宏之|みやこキャピタル(写真左)長袋 洋|Juro Sciences(同右)

長袋洋は2021年、創薬スタートアップのJuro Sciences(以下、Juro)を設立した。同社は、低活動膀胱(UAB)に対する治療薬を研究開発。UABは加齢や中枢/末梢の神経障害などによって膀胱の収縮力が低下し、膀胱充満感の低下、排尿量の減少、尿勢低下、頻尿などの症状を呈する疾患で、未だ治療薬が存在しない。Juroの開発する「SFG-02」は、複数の前臨床試験で有効性や安全性を確認済み。25年に健康成人を対象とした第1フェーズの臨床試験を開始する予定となっている。
 
ディープテック特化VCのみやこキャピタルは、Juroが7.5億円を調達した23年11月のシリーズAでリード投資を行った。同VCパートナーの三澤宏之が投資した理由とは。


三澤:実は長袋さんの会社に投資したのは、Juroで2社目なんです。

長袋:最初は武田薬品工業(以下、武田)からのスピンアウトで18年に設立したARTham Therapeutics(以下、ARTham)でしたね。武田からも出資は受けるけれども、その資金だけで研究開発を進めるには足りないので、外部の投資家を引き入れることが立ち上げの条件だったんです。それでVCに片っ端から連絡して、たどり着いたのが三澤さん。とても気に入ってくれて、リード投資家になっていただいた。

三澤:ベンチャー投資家として、20年にわたり一貫してバイオ領域にかかわってきたのですが、IPO一辺倒の出口戦略が本当に正しいのかずっと疑問に思っていました。時間軸が長いうえ、上場しても株価が伸びないことが多く、起業家のリターンも限られて、次の循環につながらない。そんななかARThamのチームは、薬の臨床試験をやって、実際の製品にしていく能力がすごく高かった。それで、新薬の種の権利を供与するライセンスアウト型のモデルでIPOを目指すのではなく、アセットを磨いて丸ごと売却するモデルをつくって、バイオ業界を変えましょうという話をさせてもらったんです。結果的にARThamは、そこから3年半で科研製薬に最大127億円でM&Aされた。そして、この成果をもとに次の実績をつくろうということで立ち上がったのがJuroなんです。

長袋:実はJuroの「SFG-02」も、もともとは武田が研究開発していたもの。ARTham時代に事業譲受して、科研製薬のM&A前に私が個人で買い上げて、次の挑戦として立ち上げたかたちです。創薬には主に3つのフェーズがありますが、アセットの価値が最も上がるのは、フェーズ2といわれる少数の患者さんを対象とした臨床試験。ここで薬の効果が確認できると、価値は平均して約6倍に跳ね上がります。Juroはこのフェーズ2までを担います。

三澤:普通の創薬は10年、15年と時間がかかりますが、Juroはもともと製薬会社がやっていたアセットを磨き上げるモデル。3~4年で成果を出そうとしているんです。

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文=眞鍋 武 写真=平岩 享

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私がこの起業家に投資した理由

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