iPhoneゲームから始まった野望
ボルジェのオープンメタバースに関する野望のルーツは、彼自身の体験から始まった。彼は、アップルが2007年に初代のiPhoneを発売し、開発者がApp Storeでゲームを公開できるようした直後に共同創業者のアーサー・マドリッドと知り合い、ゲーム開発にチャンスを見出した。そして、2011年にサンフランシスコを拠点とするモバイルゲームの開発会社のPixowlを設立し、その翌年にサンドボックスをローンチした。その当時はまだ、2D空間でプレイヤーがあらかじめ用意された要素をドラッグ&ドロップしたりして仮想世界を構築するシンプルな内容だったこのゲームは、2017年に月間アクティブユーザー数が100万人を記録するヒット作となった。しかし、ブームは長続きしなかった。
「クリエイターのほとんどは、時間の経過とともに離れていった。その原因は、彼らがゲームに貢献することでもたらされた収益を、還元できていないことにあった」とボルジェは振り返る。
そして、希望の光が差し込んだのはその年の暮れに、ボルジェとマドリッドがクリプトキティーズ(CryptoKitties)という仮想空間のネコを取引するブロックチェーンゲームを発見した時のことだった。プレイヤーがネコのNFTを所有し、他のプレイヤーと売買できるという仕組みに衝撃を受けた2人は、ブロックチェーン版のサンドボックスの開発に着手した。
彼らの動きは、その当時、同様にクリプトキティーズに注目していた香港のアニモカの目に留まった。そして2018年にアニモカは、Pixowlを約490万ドルで買収し、2人をサンドボックスの運営に専念させた。
ボルジェによると、オープンなメタバースの完成までには、少なくともあと5年が必要で、それまでの間は、これまでと同様に投資家を説得して資金調達を続けていく計画だという。「辛抱強く努力を続け、プラットフォームを完成させることに自信を持ち続けるしかない」とボルジェは話した。
(forbes.com 原文)