香港のアニモカブランズ傘下の同社は、これまで通常1年近くをかけて、分散型のメタバースを構築するという計画を投資家に説明し、資金を調達してきたという。「この会社の運営は、数多くの短距離走を繰り返す長いマラソンに似ている」と、創業5年のサンドボックスを率いるボルジェは話す。
ここ最近の金利の上昇は、投資家のハイリスクな賭けへの意欲を減退させており、メタバースはもはや最新のバズワードではなくなった。一方で多くの投資家はOpenAIのChatGPTに代表される、人工知能(AI)のイノベーションに目を向けている。
しかし、投資家の関心が弱まったとはいえ、メタバースはまだ数十億ドル規模のビジネスになるとボルジェは考えている。サンドボックスのプレイヤー数は、フォートナイトのような大手のゲームのほんの一部に過ぎないが、2桁の成長が見込めると彼は主張する。
「我々が目指すのは、単なるゲームではなくソーシャルメディアとゲーミフィケーションの中間に位置する新たな形式のエンターテインメントだ。当社のビジネスには、厳しい市場環境を生き抜く力があり、クリプト(暗号資産)の市場の動向に左右されないことを証明しようとしている」と38歳のフランス人のボルジェは語った。
ボルジェは、ChatGPTなどのジェネレーティブAI(生成AI)ツールが、仮想空間やアバターの設計を容易にし、メタバースへの人口流入をさらに加速させると信じている。大手ゲームメーカーのアクティビジョン・ブリザードも、ジェネレーティブAIを使用して、ゲームの開発速度を加速しており、サンドボックスもゲームやメタバースの改善に役立つAI企業との提携や買収の可能性を模索している。
サンドボックスのメタバースは、マーク・ザッカーバーグのメタが打ち出すものとは異なり、ブロックチェーン上に構築され、VR(拡張現実)ヘッドセットを必要とせず、ブラウザでアクセス可能だ。さらに、サンドボックスの仮想空間の土地の所有者数は、分散型のメタバースプラットフォームの中で最大規模だという。