野田:荷主と運送業者の両方だと思います。実は、2015年と2021年の状況を比較すると、ドライバーの拘束時間、労働時間は短くなり改善しています。特に待機時間、付帯業務が減っています。
荷主は待機時間を減らすための予約管理システムを導入し、付帯業務も引き受ける、運送業者は予約管理システムを積極的に活用する、というように対策をしているのです。
運送業者から嫌われて避けられてしまうような業界の荷主にとっては、物流に対する危機感がより強く、対策を取って変わらざるを得ないということもありそうです。
──次に着手すべきことは?
野田:2021年の調査では、休憩時間を除いたドライバーの実労働時間は平均11時間で、そのうち6時間半が運転時間、1時間半が待機時間、1時間半が付帯業務、残りが点呼などその他時間という結果でした。それぞれに対策を考える必要があります。
まず運転時間をできるだけ長くしたいというのは荷主もドライバーも一緒です。6時間半の運転時間には、高速道路と一般道路の走行が混在しています。中には高速道路料金を支払わない荷主もいるので、その場合ドライバーは一般道を走らざるを得ず労働時間が長くなります。
運転の効率を上げるには、長い距離であれば荷主が高速料金を支払い、運送業者が請求するといった点も重要です。

──積載量についてはどうでしょうか?
井村:大手運送会社の幹線輸送の積載率はほぼ100%だと思いますが、中小企業の場合は“復路が空”ということも多いと思います。復路が空になるようであれば、本来はそれを前提にした費用を請求する必要があります。
近年、荷主とドライバーをマッチングするサービスプラットフォームを提供する企業が増えています。電話や紙の伝票で処理されていた配送の情報がプラットフォーム上に蓄積されれば、その情報をもとに柔軟に動けるようになると期待されていますが、地域の格差や登録者数が増えないなど定着にはまだクリアすべき課題がありそうです。
野田:国内輸送は生産地の地方部から消費地の都市部への流れが多いですが、海外輸入であれば、都市部の港に入って全国に分散するという流れもあります。どの流れにどのくらいの物量があるのか全体像は誰も把握できていないというのが現実です。