電気料金値上げの「なぜ」を解説。メディアに引っ張りだこになった理由

RAUL代表の江田健二氏

政府は今月、電力大手7社が申請していた家庭向け電気料金の値上げを了承した。値上げは6月1日からで、標準的な家庭の電気料金の値上げ幅は14〜42%になる見通しだ。

この数年、断続的に行われてきた電力値上げは、いつまで続くのか。値上げによる「ダメージ」を少しでも小さく抑えるには、どう対処すれば良いのか。

そんな疑問に答えてくれるのが、江田健二氏。メディアの世界で「電力問題でコメントをしてもらうなら、この人」というポジションを確立している。

エネルギー関連の情報提供やセミナーなどを開催している一般社団法人エネルギー情報センターの理事を務める江田氏は、日本テレビ『news every.』、TBS『Nスタ』、日経新聞など多くのメディアに電力問題に関してコメントを寄せている。このほか、電力関連で多くの著書や講演実績を持つ、電力問題のエキスパートだ。

今回は、江田氏に電気料金値上げについて解説していただきながら、電力問題のエキスパートとしてのポジションを確立した背景にも迫る。

なぜ電気料金が値上げになるのか

そもそも、なぜ6月から、電気料金が値上げとなるのだろうか。江田氏によると、円安やウクライナ危機などの影響で、燃料価格が高騰したことが主な原因だという。

「電力会社が電気を生み出すための費用は、実はすでにかなり上がっていました。ですが、家庭用の電力料金には規制があり、上限が設けられているため、認可された上限までの値上げしかできませんでした。つまり電力会社から見ると、仕入れ価格の方が販売価格より高い、逆ざやと言える状況だったのです。この状況が続けば電力会社の経営を圧迫するため、値上げが政府から認可された格好です」

今回の値上げ幅をみると、地域によって大きく異なることがわかる。標準的な家庭における電気料金の値上げ率は北海道が21%、東北が24%、東電が14%、北陸が42%、中国が29%、四国が25%、沖縄が38%と見込まれる。値上げ率は北陸が最大で、東電が最小になった。

ただ今回、関西電力、九州電力は値上げを申請していない。燃料価格の高騰は一様に影響があるはずなのに、なぜ、ここまで対応が変わってくるのだろうか。
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文=下矢一良

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