そして、業界の「次の潮流」を読むことで、マスメディアだけではなく、専門媒体でも圧倒的な存在感を発揮するようになっている。
「電力業界のデジタル化について、いち早く書籍を出版しました。日本ではまだ重要性が認識されていない段階でしたが、海外の潮流を見れば、日本にもその流れがやってくることは明らかだったからです。こうした発信を続けたことで、専門媒体からのお声がけをいただくことが格段に増えました」
取材者が安心できる経歴、中立的なポジション、そして業界の先行きを読む洞察力。「黙って待っていれば声がかかる」ものではないのだ。
最後に、江田氏に私たちの電力業界の行く末について見通しを尋ねた。
「華々しくスタートした電力自由化ですが、燃料価格の高騰もあって、多くの新電力が苦戦を強いられています。挑戦的な取り組みをしながら経営破綻に追い込まれた新電力もあります。このため『自由化は失敗だった』という声が上がっているのも事実です。ですが、長期的な目で見れば競争が活性化することで、生活に応じた様々な料金プランが出てきたり、料金水準が下がったり、生活者には良いかたちになるはずです。一般の方々に関心を持っていただけるよう、私も積極的に情報発信を続けていきたいですね」