健康

2023.05.16

「体外離脱」がその後の人生を豊かにする可能性を示す研究

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「Psychology of Consciousness」誌に掲載された新しい研究論文で「体外離脱(Out-of-body experience)」を体験した人は、そうした体験の後に人格の変化を起こしやすいことが示唆された。さらに、そうした変化については、核となる8つの特徴があるという。

体外離脱体験とは、肉体とは異なる場所から自分自身を観察しているように感じる体験のことであり、感覚遮断や幻覚剤、脳への電気的刺激などによって誘発されるとされている。

本研究の共著者であるジェイド・ショーとサム・ガンディーは、こう説明している。「初期の研究では、体外離脱は病理と関連づけられる傾向があった。また神経科学的な研究では、こうした体験は、脳機能の異常として説明されてきた。しかし体外離脱体験は、こうした体験が起こる理由だけでなく、それがもたらし得る結果によって評価することも重要だ」

本研究は、オンライン方式で募集した8人の参加者を対象に、半構造化面接方式によって実施された。回答者は、一般的に体外離脱と間違われやすい現象(幻視、明晰夢、臨死体験など)を除外するためにスクリーニングされた。自然発生的な体外離脱体験の基準を満たした人だけが研究に参加し、面接に臨んだ。

研究チームは参加者に対して生きる姿勢、自己変革、人間関係、スピリチュアルな信念、人生の意味や目的に関連するテーマに焦点を当てた一連の質問を投げかけた。これらはどれも、体外離脱体験に関する先行研究や、トランスパーソナルな体験がもたらすとされる変化を検証する多くの文献から抽出されたものだ。

彼らが得た回答は、体外離脱が人生をとても豊かにする体験であり、自己同一性やリアリティ、死に関する、斬新かつ永続的な視点を育むものであることを示した。

研究者たちは「体外離脱体験に関連づけられる変化の影響には、幅広い重複が存在している」と述べる。

本研究では、体外離脱体験が以下の影響をもたらすことがわかった。

1. モチベーションを高める触媒として機能した
2. 死に対する恐怖感を軽減した
3. 心の安らぎを高めた
4. 新たな人生観を創出した
5. 自己認識を向上させた
6. 個性の感覚を養う
7. 人間関係を見直す
8. 既存のスピリチュアルな信念を強化する、または新たな信念を育てる
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翻訳=藤原聡美/ガリレオ

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